速度差250km/h? 黒から白まで静岡「撮り鉄」1泊2日

「絶気運転」を避けて場所探し

 線路脇に撮影ポイントを見つけ、露出や構図を確認。すると、聞こえてきました。

「ボーーーーーーッ」

 蒸気機関車の撮影では、この瞬間が好きです。姿は見えなくとも、その音だけまず聞こえてくる瞬間が。とにもかくにも、ワクワクしてきます。

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大井川鐵道「SLかわね路」は手動ドアであったり、客車が昔ながらなのも大きな特徴(2015年、恵 知仁撮影)。

 逆光の向こうから、千頭駅へ向かう1930(昭和5)年に製造されたC10形蒸気機関車が現れました。そして立ちのぼる煙に、胸をなで下ろします。

 蒸気機関車の撮影では、煙が立ちのぼっていたほうが「らしい」ので、撮影ポイントの選定には結構、苦労します。「絶気運転」といいますが、蒸気機関車が惰性で走っていると煙はほとんど出ません。そのため「らしい」写真を撮りたい場合、クルマでいうならばアクセルを踏んでいる状態で通過する場所を探す必要があるのです。

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転車台に乗るC10形。大井川鐵道千頭駅には多くの車両があり、ちょっとした博物館のよう(2015年、恵 知仁撮影)。

「エクストレイル」で千頭駅へ向かうと、C10形が折り返し新金谷駅行きとして走るため、転車台で向きを変えていました。この転車台、「手動」なんですね。大井川鐵道によると、1897(明治30)年にイギリスで製造された年代物なのだそうです。

 手動で一回転したC10形を眺めたのち、折り返し新金谷駅へ向かうSL列車の撮影ポイントへ。到着したのは、眼下に茶畑が広がる「静岡らしい」撮影地です。しかし……。

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茶畑が広がり、背後に流れるのは大井川、という「らしい」場所。しかし蒸気機関車らしい煙は……(2015年、恵 知仁撮影)。

 残念ながら、蒸気機関車は「らしく」ありませんでした。折り返しの新金谷行きは山を降りる形なので、煙を盛大に吐き出す場所が少ないんですよね、と、言い訳をさせてください(笑)

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