住民の反対ゼロ 変わる高速道路建設、その新たな手法
関係者が感激した横浜環状北西線
「横浜環状北西線へのPI導入は、2002(平成14)年8月の国土交通省の市民参画型道路計画プロセス(PI)の決定によるものです。ちょうどその時期、北西線も構想段階になっておりまして、それを受けて構想段階から市民等に情報を提供し意見を聞くことで、手続きの透明性、客観性、公正さが高まり、計画がより良いものになると考えました」(横浜市横浜環状北西線建設課)
具体的には、まず路線の必要性の説明から始まり、港北JCT~横浜青葉JCT間を結ぶ構想であること、ついてはどこを通すべきか、住民側に意見を求めました。
その結果、行政側が提出した“たたき台案”を含め13ルートが検討されたのち、それが7ルートに絞られ、最終的に“たたき台案”のトンネル部を長く取った修正案が概略計画として示されたのは、PIが開始された2003(平成15)年6月の約2年後。その後は環境への影響や出入口についてなど具体的な話し合いが続き、最終的に計画が決まったのは2011(平成23)年。着工は2014(平成26)年で、PI開始から約11年後でした。
11年は長いといえば長いですが、外環道東京区間のように40年も動かないのに比べればスムーズだといえます。
関係者によれば、従来の手法で計画が進められた北線では、予定地に建設反対ののぼりがずらっと並び、ルートが一目瞭然になるほどだったのに対して、「北西線では最後の住民説明会で、反対意見がひとつも出ませんでした。そんなことは初めての経験で、本当に感激しました」とのことでした。
横浜環状北線のほかには、阪神高速淀川左岸線延伸部でPIが導入されています。今後、高速道路の建設にあたっては、このPIが必須になるでしょう。
といっても、これから日本で高速道路が新規に計画されることは、ほとんどなさそうなのですが。
【了】
Writer: 清水草一(首都高研究家)
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で、首都高研究家/交通ジャーナリストとして活動中。
西九州新幹線や北陸新幹線でこういったことは絶対にやったほうがいいにきまっとるやろが。