機械の身体、その人生は楽しい? 『銀河鉄道999』実現の可能性は 空想学会が科学的に分析
現在の機械翻訳「旅行レベルの会話なら90%程度使える」
2人目の登壇は中村哲さん。奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授で、音声翻訳の第一人者とのこと。テーマは「恐竜と会話する装置は作れるか」です。
このテーマが選ばれたきっかけは『銀河鉄道999』の停車駅「冷血帝国」です。原始的な有尾人と、有尾人や仲間と会話のできる恐竜が住んでおり、鉄郎はメーテルから「自動翻訳機」を借りてチビという恐竜と会話。チビが銀河鉄道に乗って旅をしたいと鉄郎に頼む、という物語でした。
中村さんは、これまでの言語学者や機械翻訳の取り組みを紹介し、現在の機械翻訳のレベルについて「基本的な旅行会話についてはTOEICスコア900点程度」に到達しているといいます。2007年に京都で実験したところ、日英翻訳については60%以上の会話が「ほぼぜんぶ理解できる」でした。「半分くらい理解できる」を含めると90%以上の理解度となります。英日会話もほぼ同じレベルとのこと。
その研究結果がスマートホンアプリ「VoiceTra」になったそうです。2010年公開の無料アプリで、iPhone、Androidに対応します。筆者が後に試してみたところ、道を尋ねる、食事を注文する、きっぷを買うなどの会話で十分使えそうでした。これで海外の乗り鉄も安心です。良いものを教わりました。
肝心の「恐竜との会話」について、中村さんは犬の鳴き声を翻訳する装置「バウリンガル」を例に挙げ、「行動様式がパターン化され統計を取れるなら可能」「恐竜については文字も発音も、言葉を発する状況もない」として翻訳は難しいといいます。ボディランゲージや脳波を分析する方法を検討したほうが良いかもしれない、と助言しました。
おそらく中村さんは「冷血帝国」をご覧になっていらっしゃらないようです。ちょっと残念ですが、中村さんはかつて地球に存在した恐竜を復活させると想定されているようでした。しかし「冷血帝国」の恐竜チビと恋人のレーデは会話していますから、バウリンガルの手法で意思の疎通はできそうです。
なにより、メーテルが持っていた自動翻訳機は「VoiceTra」で実現できています。「VoiceTra」大宇宙対応版があれば、銀河鉄道の旅で困らないでしょう。
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