なぜ渋滞予報士は1人だけなのか その意外な存在意義

TVの影響で渋滞予報が外れたことも

――では、今年のGWの予測と実際のズレは?

加藤「おおむね予測通りでしたが、たとえば東北道は予測より減少、常磐道は予測より増加しました。常磐道全線開通の影響を加味した予測をしていましたが、それを上回る結果になりました。その要因のひとつとして、ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)の需要激増がありました。テレビで公園に群生するネモフィラの花が紹介されて、入園者数が過去最高になったんです」

――さすがにそこまでは予測できませんね(笑) ところで、加藤さんご本人が担当している渋滞予測は、NEXCO東日本管内だけですよね?

加藤「そのなかの関東支社管内です。具体的には関東地方と長野県です」

――日本でただひとりの渋滞予報士と報道されるので、発表されている渋滞予報は、すべて加藤さんがひとりで立てているようなイメージがありますが、そうではないんですよね?

加藤「もちろんです。先任者には、『渋滞予報士はマスコットのようなものだ』と言われました(笑)」

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 実は渋滞予報は、NEXCO3社と本四高速会社が管内ごとに作成した予測を統合したもので、加藤さんひとりが作っているわけではありません。

「日本でただひとりの渋滞予報士」は、ある意味“作られたスター”です。しかし人の関心はスターに集まるもの。スターの存在によって渋滞予報カレンダーが広く知られ、ひとりでも多くの人が渋滞回避を試みたり、それが無理でも事前に渋滞に対する心の準備ができれば、それだけ渋滞やストレスが緩和されます。渋滞予報士の狙いは、まさにそこにあるわけです。

【了】

テーマ特集「【道路】連休の渋滞どう回避? 発生メカニズムからマル秘テクニックまで!」へ

Writer: 清水草一(首都高研究家)

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で、首都高研究家/交通ジャーナリストとして活動中。

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