リニアの命運握る難工事、ついに始まる 南アルプスは東海道の新丹那

新丹那と南アルプスが共通して持つ大きな意味

「南アルプストンネルは1000mを越える土かぶり(地表より1000m以上深い場所を行くこと)、多い湧水、複雑な地層など、難しさはいくつかあります」(大成建設、村田誉之社長)

 リニア中央新幹線のルートで初の本格的な工事として今回着手された南アルプストンネルは全長2万5019mで、標高3000m級の山々がそびえる地域を通過。地表より最大でおよそ1400mも深い場所に穴を掘ることになります。また、大量の地下水発生も考えられることから中央新幹線建設における最難関ともされており、工事の進捗状況が中央新幹線全体の将来へ影響してくる可能性があります。

「中央新幹線の課題で一番大きいのは南アルプストンネル、その工事の難しさ」(JR東海、柘植康英社長)

 すなわち、中央新幹線の南アルプストンネルは東海道新幹線における新丹那トンネルと同様、その行く末を握る“鍵”であり、今回そこで中央新幹線のルートで初の本格工事が着手されたことには、そのトンネルのみならず、中央新幹線全体にとって大きな意味があるのです。

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南アルプストンネルの工事着手にあたり、クワを入れるJR東海の柘植社長(左)と大成建設の山内会長(2015年12月18日、恵 知仁撮影)。

「中央新幹線の未来を占う」としても過言ではない南アルプストンネル、その工期は約10年間の予定です。また、品川~名古屋間が開業し超電導リニアL0系が同区間を40分で結ぶのは現在から12年後、2027年が計画されています。

「10年という長い道のりではありますが、工事の安全、環境の保全はもとより、地域の皆様としっかり連携をとって、この難工事を社をあげて乗りきっていきたいと思います」(JR東海、柘植康英社長)

 なお在来線の丹那トンネルは大変な難工事でしたが、東海道新幹線の新丹那トンネルは技術の進歩などから順調に工事が進行。1964(昭和39)年10月1日、予定通り「東京オリンピック」の前に、初代新幹線0系が“世界初の高速鉄道”として営業運転を開始しています。

【了】

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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道ライター、イラストレーター。「鉄道」や「旅」に関する執筆活動や絵本の制作を行っているほか、鉄道車両のデザインにも携わる。子供の頃からの旅鉄&撮り鉄で、日本国内の鉄道はJR・私鉄の全線に乗車済み。完乗駅はJRが稚内で、私鉄が間藤。メインは「鉄道」だが、基本的に「乗りもの」好き。

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