軍がサンタ追跡 いまなお続く冷戦時代の暖かい物語

「核は核を持って制す」時代に生まれたファンタジー

 本来、ノーラッドという組織は子どもたちの夢とは全く異質な、米ソ冷戦下における「核戦争」に備えることを主要な目的のひとつとした組織です。その任務は、北米大陸および周辺をレーダーによって監視。ソ連の核搭載爆撃機が接近した場合は、空軍の迎撃戦闘機や地対空ミサイルによってこれを破壊することにありました。

 核搭載爆撃機への攻撃方法は実に苛烈。冷戦の終結直前まで現役であったアメリカ空軍F-106「デルタダート」迎撃戦闘機の主要な武装は、AIR-2「ジーニー」核弾頭ロケット弾でした。この兵器は、TNT爆薬1700トン分に匹敵するその炸裂エネルギーによって、ソ連の核搭載爆撃機を編隊ごと消し飛ばす威力を有していたのです。

 また、当時配備されていた核弾頭を持つ地対空ミサイルMIM-14「ナイキ・ハーキュリーズ」の威力は、「ジーニー」と同等以上でした。

「核は核を持って制す」という、まさに狂気の時代のまっただなかに「サンタさん追跡」は始まったのです。

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