北の核実験探る日米の航空機、その姿
2016年1月上旬に北朝鮮が行った核実験。それに伴い、日本やアメリカは情報収集を目的に航空機を飛ばしました。いったいどのような航空機が、どのような活動をしているのでしょうか。日本では、人気の高い「ブルーインパルス」と同じ機体を使います。
情報収集活動に従事する空自の練習機
2016年1月6日(水)、北朝鮮が核実験を行ったと発表。合わせて、日米は航空機を使用した情報収集活動を連日実施しました。
こうした核実験の際、具体的にどのような調査活動が行われるのでしょうか。
日本は「集塵ポッド」を搭載した航空自衛隊のT-4練習機により、調査飛行を即座に実施しました。機体下に取り付けられた筒状の装置で、大気中の成分を収集できるものです。パイロットは特別な訓練を受ける必要はなく、大気収集する区域を一定高度で飛ぶことによって任務を達成できます。ちなみにT-4は、空自のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が使っている機体でもあります。
「集塵ポッド」では、上空の塵埃に含まれた放射性物質の核種および放射能濃度を高度別に測定(モニタリング)可能。ポッド内部にはフィルターが入っており、そこへ浮遊する塵を付着させ、上空から基地に持ち帰ったのち、専門機関により分析されます。
これは正式には「機上集塵器 2型」と呼ばれる装備品で、自衛隊のイベントでも一般公開されており、装置そのものは機密ではないといえます。東日本大震災後、福島第一・第二原発から空中に放出される放射性物質の拡散状況を調査するためにも、この装置が使われました。
大気浮遊塵は長時間かけて流れる可能性もあり、1月11日(月)にもT-4によって日本海上(高度3000m)と太平洋上(高度900m)で浮遊塵の採取が行われました。そして原子力規制庁は、「公益財団法人日本分析センターにおいて分析した結果、人工放射性核種は検出されませんでした」と発表しています。
T-4練習機は通常、空自の飛行部隊が訓練などで使用している機体です。このT-4が「集塵ポッド」を使用して通常の大気データを収集する活動は、全国の飛行部隊で定期的に行われていますが、今回は“緊急時における特別調査”として対応することになりました。主に三沢基地(青森県)、小松基地(石川県)、百里基地(茨城県)、築城基地(福岡県)のT-4が担当しているとみられます。
なお防衛省は、大気中の希ガスを収集する目的で、空自のC-130H輸送機を飛行させたことも発表しました。
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