ホンダの総本山「青山ビル」39年の歴史に幕 毎年恒例「スーパーカブ大集結」 ただの本社ビルじゃない!
ホンダ青山本社が2025年5月、建替えのため移転します。これに先立ち数々のイベント会場となった「Hondaウエルカムプラザ青山」が休館します。39年間の歴史を振り返るイベントが2025年の年明けとともに始まります。
ホンダの哲学を体現した本社ビルをめぐるツアーも
ホンダは2024年12月20日、青山本社を建て替えるため、2025年5月での移転を発表しました。数々のイベント会場となった本社ビル1階の「Hondaウエルカムプラザ青山」も休館します。39年間の歴史を振り返るイベントが2025年の年明けとともに始まります。
2024年10月19日と20日にホンダ本社ビルで開催された第27回の「カフェカブミーティングin青山」。スーパーカブシリーズのオーナー、通称「カブ主」が集まる恒例イベントは、例年以上の盛り上がりを見せました。全国各地から訪れた彼らが共通して話したのが「青山ビル最後」という一言。イベントを続けた主催者の労をねぎらう感謝状を関係者が終了後に手渡す姿も見られました。
ホンダが本社を構える「青山ビル」は、港区青山1丁目交差点の角地に立つ、地上17階地下3階建ての白く優美な曲線を持つ建物です。自動車メーカーの経営拠点としてだけでなく、その1階にある「Hondaウエルカムプラザ青山」が、バイクや四輪の単なるショールームの域を超えたファンとの交流の接点として存在してきました。
このウエルカムプラザが2025年3月31日で休館。青山ビルも5月で業務を終了し、2030年度まで建替え期間に移行します。
そして、2025年2月23日、ホンダは建替えを前に「建築ツアー」を限定75人で公募。このビルの最後を見届けることができるチャンスがやってきます。同年1月10日からはウエルカムプラザで歴史を振り返る展示も行われますので、ツアー参加者の中にはプラザ内にある「マイルズ・ホンダ・カフェ」でのコーヒーブレイクも楽しめるかもしれません。
地下には“宗一郎の水”が
1985年2月に建設された青山ビルは、その存在そのものに企業哲学がこめられていました。
ウエルカムプラザでも無料で提供されている水は、ビルの地下3階にある35トンのカナダ産ヒバ2つの大樽に貯水された“宗一郎の水”で、災害用貯水の役割も果たしています。ビルの窓にはバルコニーがめぐらされ、火災時の上部への延焼と下部へのガラスの落下を防ぎます。ビル利用者や歩行者への安全を確保するため、スクエアなビル構造にない細心の配慮がされています。
ただ、時代は新しい企業理念を反映する新しいビルを必要としているようです。ホンダは「『イノベーションを生み出す変革と発信の拠点』となるグローバル本社機能を構築することが必要だと考え、それを実現できる新たなビルへの建て替えを行う」と、理由を語っています。この発表のタイミングで、日産との経営統合の話題も浮上したホンダ、時代の転換点に差し掛かっているのかもしれません。
ホンダ青山ビル「建築ツアー」の開催日は2025年2月23日。倉方俊輔大阪公立大学教授を案内人に、前述のヒバの水樽のほか、同社の経営判断の現場となった役員室、VIPを迎えた応接室などの見学も予定されています。役員室は個室を持たない開放的なフラットフロアーで、共用テーブルを囲んで意思統一をする現場となっています。
建築ツアーの応募は「Honda青山本社ビルクロージングイベント」のサイトから、2025年1月24日~2月9日まで公募する予定で、参加費は無料(応募者多数の場合は抽選)。また、青山ビル1階のウエルカムプラザで開催される1985年からの歩みを伝える特別展示は、同年1月10日~3月31日まで開催されます。
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