鉄道ファンざわめき「見たことある光景!」「いいのコレ…?」 “2度目の引退”京王の名車5000系に“粋な花道”

京王電鉄の名車といわれる初代5000系電車が、各地で相次ぎ「2度めの引退」を迎えています。その一つ、富士急行線のラストランに用意されたアイテムに、鉄道ファンから「見覚えがある」との声が。舞台裏を取材しました。

「そっくり」ヘッドマーク でもセーフ?

 ラストランの車内は混雑し、筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は、ラッシュ時の京王5000系を思い出しました。スピーカーに装飾された京王帝都電鉄の英語名の略称「KTR」も、郷愁をかき立ててくれました。

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最終日には「富士登山電車」と1001号編成の連結運行も(大塚圭一郎撮影)。

 河口湖駅に到着後、1000形を撮影しながら「京王はそっくりのヘッドマークにすることを了承しているのだろうか」との疑問が頭をもたげていました。すると、筆者が知っている方が、1000形と利用者らの様子を見守っているのに気づきました。

 その方とは、富士山麓電気鉄道の奥田壮一・取締役鉄道部長です。奥田さんにヘッドマークのことをうかがうと「京王さんに協力していただきました」と明言。

「京王さんから初代5000系(の引退時)のヘッドマークを作ったデザイナーさんを紹介してもらい、その方に盤面を作ってもらいました」と奥田さん。なお、編成の反対側に装着するヘッドマークは「『さようなら』の代わりに、お疲れ様でしたとの思いを込めて『おつかれさま』にした」そうです。

京王との“異色コラボ”も

 この日は鉄道好きで知られるお笑いタレント「ななめ45度」のメンバー、岡安章介さんが参加する事前申し込み制のイベントが開かれました。撮影会では、京王5000系を改造した観光列車「富士登山電車」に、京王から借りた5000系引退時のヘッドマークを取り付ける“異色コラボ”も披露されました。

 奥田さんは「1000形の定期運用終了を発表してから反響が大きく、多くの方々に愛されてきた名車だと改めて実感しました」としながらも、定期運転を終えるのは「(交換用の)部品がだんだんなくなってきてしまったとか、輸送力とかに鑑みて」だと説明します。

 富士急行線は最高速度を70km/hに設定していますが「1000形は最高60km/hまでしか出していません」と打ち明けました。また、2両編成の1000形の定期運転終了後は、原則として3両編成で統一されます。これによって「沿線住民だけではなく、訪日客を含めた旅行者も各駅停車にけっこう乗る中で、輸送力が向上する」と説明しました。

 京王の初代5000系の譲渡車両では、一畑電車(島根県)の5010・5110号車も2025年1月13日で運転を終えて引退。伊予鉄道(愛媛県)に渡った電車も、2025年2月に導入が始まる新型車両7000系に順次置き換えられて廃車になります。

 一方、岳南電車(静岡県)と銚子電気鉄道(千葉県)の車両などは、引き続き主役級の活躍を見せています。「頑丈にできている」(導入企業幹部)とされる京王の初代5000系の“ご長寿”が続くことを願ってやみません。

【30年前そのまま!?】もと京王5000系「2度めのラストラン」がスゴかった!(写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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