「あわや沈没!!」から生還できるのが“いい軍艦” 「ダメコン」のスゴさとは ハイテク艦もやっぱり「人」
軍艦が損傷を受けた場合、沈没を防ぐための「ダメージコントロール」が重要です。乗員らは、一体どのようなことをしているのでしょうか。2019年に行われた英軍艦「モントローズ」の一般公開から振り返ります。
火災への対応は?
一方、艦艇における火災への対処ですが、そもそも火災には紙や木など固体の可燃物による「A火災(一般火災)」、油など可燃性の液体による「B火災(油火災)」、電気配線のショートなどによる「C火災(電気火災)」の3種類があり、それぞれの場合で対処が異なります。
Aの一般火災の場合には、勢いよく放水する消火方法が用いられますが、この方法はBの油火災の場合には、かえって火の勢いを強くしてしまい、またCの電気火災の場合には感電の恐れがあるため、用いることができません。それら火災の種類を見極め、水を霧状に放水する装置や、ガスや化学剤を用いた消火方法などがとられます。また、海水を散布する装置が各所に設置されていて、これらを用いて艦内の火災を鎮めていきます。
こうしたダメージコントロールが日本近海で功を奏した事例があります。2017(平成29)年に静岡県の伊豆半島沖で、アメリカ海軍のイージス艦「フィッツジェラルド」が貨物船と衝突した事故です。
2017年6月17日未明、訓練を終えて静岡県伊豆半島沖を航行していた「フィッツジェラルド」は、フィリピン船籍の貨物船が接近していることに気づかず衝突し、艦内の居住区や通信室などに浸水が発生しました。また、衝突の衝撃で艦橋の一部が押し曲げられるなど船体構造がダメージを受けたほか、漏電や有毒な煙霧まで発生し、まさに運用開始以来の、絶体絶命の危機を迎えたのです。
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