「あわや沈没!!」から生還できるのが“いい軍艦” 「ダメコン」のスゴさとは ハイテク艦もやっぱり「人」

軍艦が損傷を受けた場合、沈没を防ぐための「ダメージコントロール」が重要です。乗員らは、一体どのようなことをしているのでしょうか。2019年に行われた英軍艦「モントローズ」の一般公開から振り返ります。

「フィッツジェラルド」を救った乗員の決死の努力

 しかし、同艦の乗員たちは、前述したような危険な状況下、被害を受けた区画において16時間連続でダメージコントロールを実施し、見事「フィッツジェラルド」を母港である神奈川県横須賀基地へと帰港させたのです。

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貨物船と衝突事故を起こしたアメリカ海軍の「フィッツジェラルド」(画像:アメリカ海軍)。

 この事故により、「フィッツジェラルド」は居住区への浸水で乗員7名の命を失ったほか、船体にも大きなダメージを受けてしまいましたが、乗員たちの懸命の努力によって幸い沈没は免れました。後日、アメリカ海軍は懸命のダメージコントロールによりさらなる人命損失を防ぎ、艦を守った功績をたたえ、「フィッツジェラルド」の乗員36名に対して勲章を授与しました。

 ダメージコントロールは戦闘中のみならず、このように平時から重要性の高いものです。2019年の「モントローズ」一般公開では、イギリス海軍によるダメージコントロールに対する努力の一環を垣間見ることができました。

【ほとんど“大工さん”!?】これが「モントローズ」のダメコン器材です(写真)

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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