引退の74式戦車“とっておく”必要ある? 日本も始める「装備品の長期保管」 選択を間違えれば“破滅”の恐れ

防衛省が引退した装備品の長期保管を始めます。そのひとつが、「74式戦車」です。他国のような「モスボール」を日本でも取り入れる格好ですが、旧式の74式戦車、本当に“とっておく”必要があるのでしょうか。

それは「死んでこい」同然?

 仮に有事の際、戦闘で失われた10式戦車の代わりに、保管しておいた74式戦車を渡し、これに乗って正規軍と戦えと言うのは、ただ「死んでこい」と言うのも同然です。筆者には到底看過できません。

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「撃ちっぱなし」能力を備えたロシア製対戦車ミサイル「コルネットEM」の発射装置(竹内 修撮影)。

 アメリカのGAO(会計検査院)は2024年12月17日に老朽化したタイコンデロガ級巡洋艦10隻の近代化改修に費やした予算で、最新型のアーレイ・バーク級駆逐艦が2隻購入できたはずで、老朽化した装備品の近代化改修や保管に固執することは、艦隊の破滅につながる、との政府報告書を発表しています。

 戦車が保管されていることによる心理的安心感だけを求めるのであれば、74式戦車を保管しておくことにも意味はあるのでしょう。しかし、純粋に陸上自衛隊を強くしたい、有事の際の継戦能力を高めたいのであれば、求められるのはGAOのような冷徹な視点の分析と、それに基づく判断なのではないかと筆者は思います。

【とっておきます】これが「長期保管する3つの装備品」です(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

1件のコメント

  1. 実質そのまま戦車として使うと言うより91式戦車橋や87式自走87式自走高射機関砲とかの部品取りとして保存してる感じだろう