自衛隊が新型“空の眼”を導入へ 「艦上運用型」ってオスプレイ型? まさかの“ヘリ”?

防衛装備庁が「艦上運用可能な早期警戒機の検討」を行う事業者の一般競争入札を行うことが明らかになりました。いよいよ艦載型の早期警戒機を入手する可能性が出てきました。

将来的には無人機を使うプランも

 イギリス海軍も「かが」と同様に、カタパルトとアレスティング・フックを装備していないクイーン・エリザベス級空母を2隻運用しています。同海軍はクイーン・エリザベス級の早期警戒能力を高めるため、マーリンHk.2(AW101)ヘリコプターにクロウズネストを搭載して運用しています。

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イギリス海軍の空母「プリンス・オブ・ウェールズ」で実験を行う無人航空機「モハべ」(画像:GA-ASI)

 ただ、イギリス国防省は2029年でクロウズネストの運用を終了し、その後はクイーン・エリザベス級にカタパルトとアレスティング・フックを追加し、その状態で運用できる大型UAS(無人航空機システム)を早期警戒機とすることも検討していますので、将来の発展性の面では、やや不安があることも否めません。

 ヘリコプターは固定翼機に比べて航続距離が短く、上昇限度も低いため、E-2のような固定翼機に比べて、早期警戒機として使用する場合は能力が限定されます。

 このためヘリコプターのように垂直発着艦が可能で、固定翼機並みの飛行性能を持つティルトローター機のV-22「オスプレイ」の早期警戒機型の開発も検討されましたが、採用国は現れませんでした。

 複数のアメリカメディアは、アメリカ国防総省が2026年会計年度をもってV-22の生産ラインを閉鎖する計画であると報じています。このためV-22の早期警戒機型を海上自衛隊が採用する可能性は無いと見て良いでしょう。

 前に述べたイギリス海軍のUASはまだ検討段階ですが、海上自衛隊も導入を決めたUAS MQ-9B「シーガーディアン」のメーカーであるアメリカのジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)は、2023年5月にイギリスで開催された国際会議「Combined Naval Event 2023」で、MQ-9Bに搭載可能な早期警戒ポッドの開発構造を発表しています。

 GA-ASIはシーガーディアンなどを短距離の滑走で離着陸可能にするSTOLキットの研究も行っています。実用化されるのかは未知数ですが、早期警戒ポッドとSTOLキットが開発されるのであれば、これらを装着したシーガーディアンを早期警戒機として艦上運用するという方法も考えられます。

 防衛省は2025年1月10日に、航空自衛隊のF-35Bの配備が遅れると発表しています。F-35Bの配備遅延は残念ですが、先送りされる可能性が高いいずも型での艦上運用の開始時機までの時間的余裕も生じますので、この時間を活用して艦上運用可能な早期警戒機についても、じっくり検討して欲しいと思います。

【画像】変なモノがついてるー!? これがマーリンHk.2(AW101)を改造した警戒機です

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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