「日本じゃムリ」を打破! 初の「フルフラット席」高速バスを、高知の小さなバス会社が実現しちゃったワケ 地元企業と試作約10年
日本初「フルフラット座席バス」高速バスが正式に発表。ローカルなバス会社「高知駅前観光」が地元の製造業を巻き込み、国土交通省のお墨付きも得て発表に至りました。実現不可能と考えられていた業界の“常識”を打破したバスはどう誕生したのでしょうか。
「ベッドのように足を伸ばして眠りたい」
次に夜行高速バスの東京線を検討しますが、やはり停留所の確保が困難で、募集型企画旅行形式の高速ツアーバスとして参入します(2013年に乗合バスに転換)。その過程で利用者から多く聞かれたのが「ベッドのように足を伸ばして眠りたい」という要望でした。
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しかし、その実現には多くの壁が存在します。まず、法令によりバスの「座席」に関して多くの要件があることです。中国や東南アジアで見られる「寝台」は認められません。
かといって座席のリクライニングを最大(180度)にすると、座席の前後間隔を大きく取る必要があり、座席定員がかなり限定されます。バス事業者は収益を確保できず、運賃も高くなってしまいます。
そこで考えたのが、ベースは通常の座席でありながら、フルフラットにも変形する可変型座席です。前後2席を1ユニットとし、前方座席が上段に、後方座席が下段に移動しながらフラットとなることで二段ベッドのようになり、座席定員も確保できる、というアイデアです。
筆者(成定竜一・高速バスマーケティング研究所代表)は、9年前にその構想を聞き、試作模型も見せてもらいました。しかし開発費用や法令の縛りを考えると、実現は困難というのが第一印象でした。
そもそもバスの座席は、専門の座席メーカーが作る既製品の中から、グレードや細かい仕様をバス事業者が選んで導入するものです。オリジナルを謳う座席も、普通はバス事業者がアイデアを座席メーカーに示して作ってもらうのが一般的です。
ところが、同社は地元高知の製造業を巻き込んでコツコツと開発を進めました。
開発が佳境を迎えた2024年11月には、国が「フルフラット座席を備える高速バスの安全性に関するガイドライン」を策定。急いで設計を変更しガイドラインに対応しました。結果として国のお墨付きを得ることにもなり、とうとう「ソメイユプロフォン」が完成、発表に至ったのです。
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