「クラウン3000台積み」トヨタの新型“LNG燃料”自動車運搬船が公開 もう次は“別の燃料”にするワケとは?
トヨタグループの新たな自動車船(RORO船)が就航。LNG燃料船を採用し、完成車輸送の脱炭素対応を加速します。一方で、次の新造船は“別の燃料”になる見込み。インフラ整備が進まない新燃料の課題も浮彫りになっています。
最大の特徴はLNG燃料 でも“次”を見越してます
同船最大の特徴としてLNGと軽油を燃料として使用できる2元燃料(DF)エンジンの搭載が挙げられます。船内に長さ34m、高さ7mのLNG燃料タンクが2つ搭載されており、LNG燃料だけで約1万8000km、約30日間の航海を行うことが可能です。
現在、就航している同規模の重油燃料船と比較して、船型改良などの効果も含め、燃焼時のCO2(二酸化炭素)排出量を35%削減。さらに硫黄酸化物(SOx)の排出も99%削減できると見込まれています。
「新燃料船については船だけではなくて、燃料サプライのロジスティクスも全て準備する必要がある。そういった意味を考えるとLNGが最適だと思っている」(鈴木常務)
ただ、そのLNGのバンカリング(供給)は一つの課題でもあります。寄港する中京地区のLNGバンカリング船は「かぐや」しかなく、日本全体でも九州・瀬戸内地域の「KEYS Azalea」と合わせて2隻しかありません。そのため「TRANS HARMONY GREEN」はシンガポールかマレーシアでLNG燃料の補給を受ける予定です。
さらにトヨフジ海運は国内を運航する内航サービス向けに、メタノール燃料RORO船2隻を導入することを決めています。LNGではなくメタノールを選択した理由について鈴木常務は次のように話します。
「LNG はタンクの冷却などに時間がかかるが、日本の内航の港は結構忙しく、数時間でまた次の港へ行かないといけない。メタノールは常温で、燃料を輸送する船も結構ある」
取り扱いの容易さと既存サプライチェーンが活用できるという点に、メタノール燃料が内航では強みがあると鈴木常務は強調します。また、今後の新造船についても「航路ごとにどの燃料が良いかということを検討しながら決めていきたい」と話しました。
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