「なんでこんなに安いんや?」隣の駅まで100円“激安運賃”の謎 大阪の私鉄“延伸”1年 新線区間でも安い!
千里中央~箕面萱野間の延伸から間もなく1年を迎える北大阪急行電鉄は、「日本一安い初乗り運賃」でも知られます。開業から半世紀経っても、隣の駅までワンコインという低廉な運賃を維持し続けているのはなぜでしょうか。
なぜ「値上げする必要がなかった?」
北急はなぜ、値上げをしなかったのか。理由は3点あります。
一つは、大阪万博への来場者数です。当初予想の倍以上の6421万人が訪れ、その3割強が北急を利用しました。開業初年となる1970年度の北急の乗降客数は5540万人で、大幅な黒字を記録しました。建設費の償還が順調に進んだのが最大の理由です。
2点目として、設備投資を抑制できたこともポイントです。開業時から8両編成であったうえに、最新の自動列車制御装置(ATC)、無人変電所、自動券売機などの設備を導入していました。ゆえに輸送力増強のための追加費用があまりかからなかったのです。
最後に、千里エリアの沿線の住宅開発が順調に進捗したことです。開業翌年度の1971年から4年間は利用が低迷して巨額の損失を出します。ですが、1975年度の乗降客数は3163万人で黒字に転換し、1985年度には同5715万人と万博開催時の数字を超えました。沿線で予想以上の開発が進み、利用増で黒字幅が拡大しました。
このように、北急で低廉な運賃が保たれたのは、開業から十数年、運賃改定をする必要がない時期が続いたからです。
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