哨戒機と化した「11時間飛べる激ヤバ単通路旅客機」誕生へ! 「世界2大航空メーカー」争いも“新章”か
「世界一長く飛べる単通路旅客機」としてエアバスが生み出した新型機「A321XLR」。この哨戒機型ができる予定です。これにより、同分野でも「2大航空機メーカー」がしのぎを削ることになりそうです。
完成後の「A321MPA」展開どうなる?
A321XLRの旅客機タイプの航続距離は約7400kmにとどまるのに対し、ベース機である737から長距離を飛べる哨戒機向けの改修を受けたP-8は、それよりも幾分長い7500~8000kmの距離を飛べるとされています。
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海中を航行中の潜水艦は、一度発見したらどこへ向かうのか、行動パターンを常に把握しなければなりません。しかし、一度見失うと再度見つけるのに困難を伴います。そのため、発見時から同じ哨戒機ができるだけ長く追跡するのが望ましく、A321XLRは哨戒機に向いているとされたのです。
同時に、ADSはA321XLRを基にした哨戒機がフランス海軍に配備された後は、A320シリーズのネームバリューを利用して輸出に乗り出すのは間違いないでしょう。その際、潜水艦の追跡時間がP-8に及ばないとなれば、いくらA320シリーズと共通の部品を使い製造・運用コストを下げても各国海軍が魅力的と見るかわかりません。
2009年に初飛行し、既にアメリカ海軍のほかイギリス・オーストラリア・インドなどで導入されているP-8に対して、A321XLR版哨戒機は、実現した場合には追う立場となります。ただ、旅客機の世界で60年近くの歴史を持つ737シリーズに対し、約30年後に生み出されたA320シリーズは後発ながらも売上を伸ばし、ついに737の製造機数を抜かしました。
こうした「追い上げ」の前歴をエアバスとエアバスの主要構成国であるフランスが、哨戒機の分野でも見せるかもしれません。
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
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