哨戒機と化した「11時間飛べる激ヤバ単通路旅客機」誕生へ! 「世界2大航空メーカー」争いも“新章”か
「世界一長く飛べる単通路旅客機」としてエアバスが生み出した新型機「A321XLR」。この哨戒機型ができる予定です。これにより、同分野でも「2大航空機メーカー」がしのぎを削ることになりそうです。
「世界一長く飛べる単通路旅客機」をベースに
フランス海軍の将来の哨戒機へ向けて、ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスの子会社である「エアバス・ディフェンス・アンド・スペース(Airbus Defence & Space。以下ADS)」が、エアバス製の新型旅客機「A321XLR」をベースにしたA321MPAの研究契約を結んだと発表しました。これにより、哨戒機の分野でも世界2大旅客機メーカーが“一騎打ち”する可能性が確実視されています。

潜水艦を探知したり水上艦艇を監視したりする哨戒機では、既にアメリカのボーイングが737からP-8を派生させています。A321XLRを含むA320シリーズと737は、各社で最も売れている旅客機シリーズのひとつで、このライバル関係が哨戒機分野でも見られるというわけです。
ADSが2月に発表したフランス海軍向け新型哨戒機の研究は、現在使われているプロペラ双発機のダッソー・ブレゲ・アトランティック2の後継機を目指し、2030年から2040年の就役を見込んでいます。2月にADSとフランス国防調達庁は、A321XLRを基にした新型哨戒機の研究へ2年間の契約を結んだことから、実現の可能性が高くなりました。
哨戒機は、海中の潜水艦を追跡したり水上艦艇を監視したりと平時から“実戦”に就いているほか、海難事故では行方不明者の捜索に加わる、どの国でも欠かせない戦力です。
潜水艦を発見・追跡する探知機器や操作員を乗せ対潜兵器や機雷を積む搭載能力と、長時間の飛行により作戦クルーの疲れを減らすための乗り心地の良さ両立の観点から、小型旅客機を基にして開発されるのがトレンドの1つとなっています。この流れからボーイングP-8も737から生まれました。
民間機をベースとする軍用機は早期警戒管制機(AEW&C)もありますが、こちらは索敵レーダーをできる限り高空に上げて敵の探知距離を長くしたいことから、高高度の環境下で機内の気圧を上げ、人為的に地上に近い環境へ近づける「機内与圧」が優秀な大型ビジネスジェット機が好まれます。
これに対して、哨戒機は飛行高度より下の海が監視対象であることから機内与圧は旅客機レベルでも十分となります。エアバスはこれもあり、A321XLRを哨戒機に提案したと考えられますが、見落としてはならないのは、航続距離7400km、「世界一長い航続距離を持つ単通路旅客機」をウリに開発されたA321XLRと同じような距離を、P-8も飛行できることです。
コメント