首都高、老朽化問題に出口無し? はたして無料化の実現は

新規地下トンネルより高い更新費 老朽化対策で首都高は破産する?

 首都高1号羽田線・東品川桟橋の造り直し工事は、まず陸側に2車線の迂回路を設け、そのうえで上り線側、そして下り線側という順に取り壊して造り直すという、複雑な手順が予定されています。造り直し区間の距離は、羽田寄りの鮫洲埋め立て部と合わせて1.9km。総事業費は986億円で、1kmあたりの単価は約500億円/kmです。

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右側の新たな埋め立て部に迂回路を建設したのち、左側の本線を順次取り壊して、造り直す(2016年5月30日、清水草一撮影)。

 これは、地下トンネル(シールドトンネル)が続く首都高C2中央環状品川線の約400億円/kmをも上回ります。常に往復4車線を確保しつつ工事を進めるため、工程が大変複雑になり、運河上という条件の悪さもあって、単価が上昇してしまうのです。

 仮にこの単価で首都高全線(約310km)を造り直すと、およそ15兆円という途方もない金額になります。

 現在、首都高の建設に使われた借金が約4兆円残っており、料金収入でそれを今後34年間かけて返済していく予定です。しかし、老朽化は次々と襲ってくるはずですから、全部を造り直すと約15兆円、借金の4倍にもなる額がさらにのしかかってくる、という単純計算。「首都高は老朽化で破産するのでは!?」という疑問すら湧いてきます。

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現在、首都高で行われている大規模更新と大規模修繕の対象区間(画像出典:首都高速道路)。

 現在行われている首都高の更新計画は、総額およそ6300億円をかけ、造り直し区間が合計8km、大規模修繕区間が55kmです。建設から40年以上を経過した区間約100kmのうち、およそ6割に大幅な手が入ることになりますが、この6300億円は、2050年に先述した4兆円の借金を完済したのち、改めて15年かけて返済する予定です。そのため首都高の料金徴収期間は15年間延長され、2065年までになりました。

 しかし首都高は今後、定期的(たとえば10年毎)に更新個所を見直していく予定で、そのたびに、今回ほどの額にはならないと思われますが、新たな費用が発生する見込みです。つまり「老朽化を受けた道路更新」と「借金」というサイクルが、続いていくことになります。

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コメント

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6件のコメント

  1. 『・・あるいは人口が減って首都高が不要になり、取り壊しが決定していれば、首都高の無料化は、いよいよ実現することになるでしょう。』って、それじゃ首都高無料化って表現はおかしいでしょう?まともな日本語表現とは思えない、(首都高研究家)なる肩書きも、こんな表現を平気で掲載してる見識かと思うと、虚しく映りますね。

    • これは、無料化を主張し続ける人への皮肉でしょう。

  2. それではオーバースペックな橋をバンバン作って通行料金では借金返せませーんと開き直ったどこかの公団の二の舞でしょうね。

  3. 取り壊しが決定すれば、それ以降は耐用年数を延長するための工事が不必要になるから、借金が増えずよって無料化できる、ってことじゃないかな。

  4. 阪神大震災で倒れた高速を目の当たりにしたとき、あの汚らしくて危険な都心環状線は、撤去で問題なし。オリンピックが終われば建築会社も暇になるから、さっさと取り掛かって欲しい。
    そのためには、周りの環状線を一刻も早くつなげること。
    あるいはビッグディグのように、全て地下化。