「戦場にトイレを投下した!?」ネタを本気でやってしまった! 米軍の傑作攻撃機A-1「スカイレイダー」とは
第2次世界大戦終戦直前の1945(昭和20)年、のちに傑作機へと昇華する単発レシプロ攻撃機が初飛行しました。A-1「スカイレイダー」と名付けられた同機は後に様々なモノを吊り下げ敵地へ落としました。
「落としたことがないのはトイレくらい(笑)」と言われたから……
運用開始は大戦直後の1946年からで、ちょうど実用的なジェット軍用機が登場し始めたのと時期的に重なったものの、同機の搭載量の高さは群を抜いました。朝鮮戦争勃発後は、対地攻撃で味方の地上軍を支援したほか、空母プリンストンに搭載のA-1飛行隊は、航空魚雷で北朝鮮国内のダムを攻撃・破壊するという戦果を挙げています。

アメリカ海兵隊も近接航空支援用で同機を運用していましたが、朝鮮戦争中には大容量でなんでも運んでしまう同機を揶揄し、「キッチン以外に運べない物はない」と評したほど。しかし、そのジョークを覆すべく後日なんと本当に流し台を翼下に搭載し投下。キッチンを運べることを証明してしまいました。
さらに時代は進み、1965年にベトナム戦争が起きると、同機は戦闘に置いて大きな役割を果たします。この時期は誘導兵器がまだ未成熟だったこともあり、高速で移動するジェット攻撃機よりも、低速で低空を飛行できA-1は、命中率に優れると評価され、海軍だけではなく空軍でも対地攻撃用として重用されています。なお、このコンセプトはOA-1K「スカイレイダーII」にも受け継がれており、同機はジェット戦闘機が苦手な低速域での地上攻撃と、逆にヘリコプターが苦手としている小型機などの追跡を行えるような機体になっています。
ベトナムの戦場でA-1が爆弾、ロケット弾、ナパーム弾など様々なものを落としていくとやがて、「もはやこの機体が搭載したことがないのはトイレくらいのものである」というジョークがアメリカ軍内で流行しました。これに対し、今度は信管を取り付けた洋式トイレを実際に「トイレ爆弾」として投下。これにより、もはやA-1には取り付けたことのないものはないとまで言われるほどになりました。
その後、「積んでいないのはバスタブだけだ」と今度はバスタブを搭載して出撃を試みたという逸話も。ただ、これについては出撃前にその目論見が上層部に発覚したことで、未遂に終わったと言われています。なお、その軽快な機動性を活かしてベトナム戦争中には、北ベトナム軍のMiG-17ジェット戦闘機を撃墜した記録も打ち立てています。
ここまでの傑作機だったがゆえか、2025年現在、アメリカには数十機のA-1「スカイレイダー」が保存・展示されており、そのうちの半数近くは飛行可能な状態で維持されているほどです。そのため、いまでも各地の航空ショーや映画、ドラマなどでは実機が実際に飛行して、その雄姿を大勢の人たちに披露しています。
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