国内初「実質“寝台”バス」で横になる! 法令だいじょうぶ? 開発の秘話を聞いた
高知駅前観光がモニター運行を開始する、日本で初めてのフルフラットシート「ソメイユ・プロフォン」を備えた高速夜行バス。その試作車に、座席鉄である筆者が寝転んでみました。開発まで、試行錯誤の連続だったようです。
座席は上下段の寝台へ可変
高速バスのメーカーは日野自動車と三菱ふそうが多くを占めており、この両社の座席を「ソメイユ・プロフォン」ユニットに交換しようとしました。寝台のために設計されたバスはなく、現用車両に合わせる必要があるわけです。どちらもエンジンのある後部の床が高く、車両前部に向けて傾斜がある点は同じですが、傾斜角度や棚の高さなどは異なり、両方に対応できる設計が求められました。
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ただ、軸重に余裕がなく、バスの後部になるほど装備が配置しにくかったり、エンジンのある後部の方が気温が上がりやすかったりと配慮すべき点は多く、何度も設計変更したそうです。
「ソメイユ・プロフォン」は1+1+1列、上下二段式の寝台です。座席への変換は2人がかりでなければできないため、営業運転中の座席⇔寝台変換は行われません。
筆者(安藤昌季:乗りものライター)は座席状態のユニットに着座。座席幅48cmです。肘掛けがなく、背もたれがやや直線的ですが、なかなかの座り心地でした。
寝台状態の座席幅は46~48cm。座席長さは180cm、上下空間は下段が51cm、上段が51~73cmです。上段の高さに差があるのは、後部になるにつれ天井が低いことによります。
寝台間の通路は法令上認められる範囲で最も狭くなっています。つまり、広くはありません。区画内に荷物置場もないため、大きな荷物はトランクに預けるのが前提です。なお本運行までには、上段に荷物置場を設置できるようにしたいとのこと。ただし前後方向の強度を考えると、ユニット間隔を空けて荷物置場を設けるのは難しく、ユニットを後ろに寄せて、前方に荷物置場が置けないか検討しているそうです。
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