国内初「実質“寝台”バス」で横になる! 法令だいじょうぶ? 開発の秘話を聞いた

高知駅前観光がモニター運行を開始する、日本で初めてのフルフラットシート「ソメイユ・プロフォン」を備えた高速夜行バス。その試作車に、座席鉄である筆者が寝転んでみました。開発まで、試行錯誤の連続だったようです。

高身長の人は寝台に収まるの…?

 下段寝台は「区画内に転がり込む」サイズ感ですが、寝てみると快適で、足も伸ばせます。ただし外はほとんど見えません。枕は備え付けで、なかなかよいつくり。毛布は本運行時に設置されるそうです。社内からは「クッション性の改善が必要」という声もあり、さらなる改良を模索しているとのこと。寝台下にレールがあるため、収納スペースとしてはあまり適さず、辛うじて靴をしまえる程度でした。

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座席を寝台状態にした車内(安藤昌季撮影)

 筆者は寝台からの出方がわからず、苦労しました。運行中は揺れますから、走行中にトイレに行く場合などは慎重な動きが必要でしょう。

 ところで、寝台の長さが180cmでは、高身長の乗客は横になれないのではないでしょうか。

 担当者によると、高身長の社内モニターには、足を曲げて横向きに寝てもらったとのこと。身長173cm、体重70kg程度と標準体型の筆者が試すと、ぎりぎり収まる感じでした。カギは「横向きに寝る」ことです。

 ちなみに寝台区画内に小物置場やコンセントはありませんでしたが、これは試作のため。どちらも本運行では装備する予定だそうです。

 上段寝台へはハシゴで上がります。寸法上は下段より余裕がありますが、天井にクッションがある下段と違い、上段は構造物に頭をぶつけやすいので注意が必要です。なお、社内モニターからは、「上段の方が小刻みに揺れ、バスにはあまりない乗り心地だった。上段と下段は好みが別れた。酔ってダメというモニターは1人だけだったが、熟練運転士による運転操作が必要と感じた」との意見が出ました。

 上段・下段ともカーテンは備わりません。構造上付けられないわけではなく、マグネットで付けられる試作品もテストされたそうですが、乗車人数を確認する必要上、仮に設置するにしても区画の半分になるとのことです。ただし、これは寝台にカメラを設置し、運転席からモニターで確認をすれば解決するので、この場合は完全なカーテン設置も可能という返答でした。

 そのほか、「更衣室が欲しい」という意見も出ており、こちらも本運行までに検討しているそうです。

 高知駅前観光としては、「モニター運行で様々なご意見を頂戴し、育てていきたい」とのことで、業界初のフルフラットシート、今から本運行が楽しみとなる車庫見学でした。

国内初! 「寝台バス」の車内を見る(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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