攻撃ヘリの新たな活用法!? ウクライナ軍が披露「むしろ空対空戦闘に使えます」エースまで誕生か?

ロシアによるウクライナ侵攻で、攻撃ヘリコプターがドローン迎撃に活用されているそうです。ただ、攻撃ヘリコプターはもともと対地攻撃がメインだったはず。空対空戦闘に向いているのはなぜなのでしょうか。

レシプロ練習機でのドローン迎撃も

 従来の防空システムは、主に高速で飛来する航空機や巡航ミサイルを迎撃する目的で設計されており、小型ドローンのような低速・低空目標に対しては効果が限定的です。この傾向は特に戦闘機において顕著です。さらに、対空ミサイルは非常に高価であり、低コストのドローンに対して使用するのは費用対効果の面で問題があります。その点、攻撃ヘリコプターの機関砲弾は安価なので、簡単に言えばコスパ良くドローンを迎撃する手段となり得るのです。

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搭載機銃を射撃するウクライナ空軍のMi-24「ハインド」攻撃ヘリコプター(画像:ウクライナ国防省)。

 また、ウクライナでは低速のレシプロ練習機Yak-52が対ドローン戦闘に投入されていることも判明しています。同機では後席の搭乗員がライフルを用いてドローンを撃としていると推察されますが、Mi-24Dの機関砲を用いた迎撃の方がより効果的であると考えられます。

 しかし、攻撃ヘリコプターによる対ドローン戦闘には限界が存在するのも事実です。なぜなら、Mi-24には空対空レーダーが搭載されておらず、索敵は搭乗員の目視に依存するしかないからです。そのため、小型ドローンを効率的に迎撃することは困難であるかもしれません。

 また、攻撃ヘリコプターは携帯式防空ミサイル(MANPADS)に対して極めて脆弱であり、最もドローンの脅威が高い前線近くでは活動が制限される可能性があります。そのため、主に友軍が支配する後方地域において迎撃任務を担うことになりますが、果たして高価な攻撃ヘリコプターをそのような用途に投入することが戦術的に適切なのかについては、慎重な検討が必要だと言えるでしょう。

 いずれにせよ、攻撃ヘリコプターが現代戦において新たな役割を模索しつつあることは明らかです。本来の地上部隊への近接航空支援という役割が、従来と比べて困難になりつつあるなか、ドローン迎撃という新たな用途が確立されるかどうか、今後の動向に注目したいところです。

【第2次大戦中みたいだ…】これが約20機の「撃墜マーク」描いた攻撃ヘリです(画像)

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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