先駆けは65年前の北海道!? 日本初の“寝台バス” どうも窮屈だった模様
2025年3月、高知駅前観光が日本で初めてフルフラット座席を備えた高速バスを登場させました。法令などの観点から長らく実現が難しいとされた“寝台バス”ですが、実は65年前にも完成へ漕ぎつけた例がありました。
料金を徴収して営業運行へ
寝台使用料は1人200円。1961(昭和36)年における初任給は平均1万3000円、国鉄の三等寝台上段が600円でしたから、当時でも格安だったと思われます。

なお「ゆーから」は1泊2日の場合、一般貸切車の18%増の料金で借りられたそうです。当時の観光バスは50~60名乗りが一般的ですから、こちらも格安といえるでしょう。
「ゆーから」は陸運局の許可を得て、1960年8月11日に運行を開始しています。翌年4月にテレビで紹介されたときの写真も残っているので、しばらくは運行されたのでしょう。資料によってはその間、横転事故を起こしたと記されているものもありますが、後に一般車に改造されているので、真偽のほどはわかりません。ただ、1960年当時は東京都内の葛飾区でも都道の舗装率は62.8%であり、北海道の、ましてや非舗装道路で発生するであろう騒音や振動では、とても眠れたものではなかったかもしれません。
結局、「ゆーから」は成功を収めたとはいえず、日本の夜行バスは「フルフラット寝台」から遠ざかってしまいました。それから65年。「ソメイユ・プロフォン」開発時に制定された国土交通省のガイドラインによって、今後はフルフラットシートのバスが増えると考えられます。そこに至るには、「ゆーから」という先駆者の挑戦があったからだといえるのではないしょうか。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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