CO2排出ゼロ「アンモニア燃料船」燃料代は結局いくらに? 現実的なんですか? 日本郵船社に聞く今後
日本郵船が脱炭素へ向けた新たな船舶燃料としての「アンモニア」の活用に取り組んでいます。なぜアンモニアなのか、そして“いくら”になるのか――同社の曽我社長が今後のビジョンを話しました。
燃やしてもCO2が出ない「アンモニア」
日本郵船が世界初となる国産エンジンを搭載した「アンモニア燃料アンモニア輸送船(AFMGC)」の開発に取り組んでいます。同社はすでにアンモニア燃料タグボート(A-Tug)「魁」(278総トン)を東京湾の曳船事業に投入。アンモニア燃料供給(バンカリング)船の基本設計承認(AiP)も取得しました。

同社の曽我貴也社長は「我々はCO2(二酸化炭素)を吐きまくりながら事業を行っている。 CO2 排出を減らすことが世界中の人々への貢献に繋がると考えた場合、いちばん効果的なのは船の燃料を転換することだ」と力を込めます。その“答え”の一つがアンモニアです。
世界的な気候変動対策が求められる中、大量のCO2を排出する重油を燃料として使う船舶と国際海運には厳しい目が注がれていました。こうした中で同社は長期目標として「2050年までにグループ全体でのネット・ゼロエミッション達成」を掲げ、GHG(温室効果ガス)を「減らす」「出さない」「取り除く」の3つの側面から脱炭素に向けた取り組みを進めるとともに、脱炭素技術の研究開発を推進しています。
「世界で排出されているCO2のうち2~3%が国際海運で発生していると言われている。数量にすると7億トンから8億トンで、ドイツ1か国のCO2排出量に相当する」
曽我社長は脱炭素化の必要性をこう強調したうえで、「現在の重油からLNG(液化天然ガス)焚きに変え、その次のゼロエミッションの燃料としてメタノールや水素などさまざまなオルタナティブがあるが、我々はアンモニア船の開発に尽力している」と話しました。
アンモニアは燃焼してもCO2を排出しない環境に優しい次世代のゼロエミッション燃料として注目を集めています。日本郵船はアンモニア燃料船を2030年までに3隻、2031年から2033年にかけて12隻整備する方針です。
「アンモニアは、今は危険物という扱いの中で、どういうふうに舶用燃料として運用するか、安全基準ガイドラインというのはまだ出来上がっていない。我々としてはこれを世界に先駆けて、アンモニア燃料タグの『魁』を作り、実装というところまで来た。この知見を生かした形で国際ルール作りにも先行していきたい」(曽我社長)
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