“絶対に訪れるべき鉄道路線”いつ乗れる!? 肥薩線「山線」の復旧にJR九州が及び腰の理由 「川線」と明暗分かれる

豪雨で被災したJR肥薩線の八代~人吉間を鉄道で復旧させることでJR九州が2025年4月1日、熊本県と最終合意書を取り交わしました。しかし、残る被災区間、人吉~吉松間の「山線」については、復旧に慎重な姿勢を崩していません。

山線復旧には何が必要か

 筆者は2025年3月、南日本新聞の南日本政経懇話会で鹿児島県の公共交通について講演した際、JR九州と熊本、宮崎、鹿児島の3県による山線の復旧協議がまとまるには、川線と同じ条件を適用する「イコールフッティングが必要だ」と申し上げました。すなわち川線と同じようなJR九州の負担軽減策が求められ、復旧費の約9割を国と3県が負担し、運行再開後は上下分離方式を採用することが前提になるだろうとお話ししました。

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人吉市SL展示館に保存された「D51」(2019年3月、大塚圭一郎撮影)

 その上で、肥薩線はその名の通り熊本県と鹿児島県をつなぐために敷設された路線で、全線を復旧させてこそ「南九州を周遊する観光客の動脈の役割を果たす」との持論をお伝えしました。車窓から絶景を楽しめるため、2024年に約3687万人と過去最高を更新した外国人旅行者の利用も大いに期待できます。

 このたび吉松を6年ぶりに再訪すると、無人化された駅は賑わいを欠いており、窓には「肥薩線(山線)早期着工復旧は私達の切なる願い」と貼り出されていました。その言葉通りになり、山線を通って吉松に到着した列車から利用者が次々と降りる光景が再び見られることを強く願っています。

【復旧して!!】これが被災した「絶対に訪れるべき鉄道路線」です(地図/写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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