日本の軍用機「初の輸出」に現実味 「win-winだね」ってそういう意味か… かつてないほど接近する日伊

海上自衛隊が運用している国産対潜哨戒機「P-1」の輸出の可能性が報じられています。その見返りとして、当該国製のジェット練習機を航空自衛隊が導入する可能性もあるとか。さまざまな事情を考慮すると、全くの絵空事とは言えないようです。

はじめての「軍用機」輸出なるか!

 2025年3月29日付の「ディフェンスニュース」など複数のメディアは、イタリア空軍の制服組のトップであるルカ・ゴレッティ参謀総長が、海上自衛隊が運用しているP-1哨戒機の導入を検討していると述べたと報じました。

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海上自衛隊が運用する対潜哨戒機P-1(画像:海上自衛隊)。

 P-1は、防衛装備移転三原則で外国への輸出が容認されています。これまでフランス、ドイツ、ニュージーランドと輸出交渉が行われましたが、残念ながら実現はしていません。イタリアが導入する可能性はあるのでしょうか。

 2019(令和元)年6月にフランスで開催されたパリエアショーに、日本のP-1はフランスとドイツへのプロモーションを兼ねて参加していました。P-1の展示エリアの近くにはイタリアの重工業メーカーであるレオナルドのパビリオンがあり、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)も取材しました。

 レオナルドが航空自衛隊のT-4練習機の後継機として、同社のM-346練習機を提案する意向を持っているという話を耳にしていたため、取材に対応してくれたレオナルドのイタリア人社員の方とも、自ずとM-346についての話が多くなりました。そのなかで、こんな話をされていたことを思い出しました。

「いつか弊社のM-346を航空自衛隊が導入し、その代わりに日本の航空機、たとえばあそこで展示されているP-1 をイタリア空軍が導入することになれば、お互いウィン・ウィンだね」

 レオナルドはイスラエルにM-346を輸出し、その見返りとしてG550CAEW早期警戒機を同国から導入したと言われています。筆者はその話を知っていましたが、イタリア空軍は2016(平成28)年にATR72旅客機の哨戒機型であるP-72ASを導入したばかりだったので、社交辞令として聞き流していました。

 しかし、それから6年の間に世界情勢や日本とイタリアの関係が大きく変化したことで、イタリアのP-1導入は現実味を帯びているようにも思えます。

 イタリア軍はNATO(北大西洋条約機構)の地中海戦力の中核を担っており、地中海方面の洋上監視能力を強化するため、前出したP-72AS 4機を導入しています。アフリカからの不法移民を乗せた船舶の監視といった任務であれば、P-72ASは充分な能力を持つ哨戒機なのですが、2022年のウクライナ侵攻以来、地中海方面での活動が活発化したロシアの潜水艦に対処するには能力が不足しています。

 イタリアが加盟するEU(ヨーロッパ連合)は2025年3月4日、ヨーロッパの防衛力を強化するため、最大8000億ユーロ(約125兆円)の資金を投入する計画を発表しており、おそらくイタリアは地中海方面で活動するロシア海軍に対する備えに、少なからぬ資金を投入するものと考えられます。

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コメント

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4件のコメント

  1. 護衛艦やミサイル艇が装備している3インチ砲はotoメララのライセンス生産品です。他にもイタリアに起源や関係が深い防衛関連企業は他にもあり、それらの製品を導入していたと記憶しています。

    確かに航空機に限ってしまえば、そうかもしれませんが、文脈からはそうは受け取れませんでした。

    念の為。

  2. 日本の軍事機密満載の新鋭機をイタリアに輸出しますかね?

    イタリアは親中国として一帯一路計画に乗った国ですから、直ぐにスパイされますよ。

    リスクの方が高過ぎる。

    輸出するなら輸送機辺りが無難でしょう。

  3. メンテは日伊どっちでやるつもりなんだろ?

  4. 視界が広く低空低速での飛行性能に優れているP-1は、対潜以外の一般的な哨戒にも向いているので、日本と同じく国土の割に海岸線の長いイタリアに適していると思います。

    実績の乏しいエンジンに不安があるならRR製に換装するなど、要望には柔軟に対応してぜひ輸出を成功させて欲しいものです。