自衛隊の偉い人も興味いっぱい!「最先端の無人戦闘機」オーストラリアで開発中 どんな運用を想定する?
航空自衛隊も興味を示すボーイング・オーストラリアのMQ-28「ゴーストバット」。最も実用化に近い無人戦闘機と言われる同機について、現地のエアショーで現役将兵らにハナシを聞きました。
大量導入に備え、新たなパイロット育成方法も
MQ-28「ゴーストバット」はAIによる自律制御が可能ですが、有人機との連携が前提のためその運用には人間が介入する必要があります。これは「オペレーター・イン・ザ・ループ」と呼ばれ、機体の離発着は地上のオペレーターが担当し、任務中はそれを有人機のパイロットが引き継ぐそうです。

また、地上オペレーターは任務中に操縦ではなく、MQ-28に搭載されるセンサー機器を操作して別のタスクで任務に協力することも可能と、前出のオーストラリア空軍中佐は説明していました。
この機体が制式採用された場合、その数は有人機よりも多くなるのは確実で、中佐いわく「これは理想ですが、我々は数百ものMQ-28を運用したいと考えています」とのこと。しかし、そこで問題になってくるのがオペレーターの育成だとか。「通常のパイロットの育成には費用がかかるので、私たちはこの無人機でそれだけの費用を払うことはできません」と述べていました。
そこで検討されているのが有人機のパイロットに操縦させるのではなく、無人機オペレーターとも言える新しい役職の人材を採用することだといいます。MQ-28は航空機ですが、その操縦は有人機とは異なり、モニターを通じてゲームのように操作をするのではなく、数値や座標を入力するプログラムに近いものだといいます。
つまり、実機の操縦経験は必ずしも要求されるわけではなく、より簡易的な訓練でも操縦技術を習得することができる模様です。
「現時点ではパイロットとシステムオペレーターが機体を飛ばしていますが、私たちはこの機体を操縦するためだけの隊員を採用することを検討したいと考えています」(前出の中佐)。
無人機といえば未来的なイメージがありますが、軍事の分野ではすでに当たり前の存在であり、運用の長い歴史があります。しかし、有人機と連携をするMQ-28はこれまでにない新しいカテゴリーの機体であり、これを実際に使える兵器にまで完成させるには機体そのものの開発だけでなく、運用方法や部隊の構築、人材育成なども同時に考えていく必要があるようです。
MQ-28は、日本の航空自衛隊も興味があるようで、「アバロン・オーストラリア・インターナショナル・エアショー」では、航空自衛隊の将官が、展示機を熱心に見学し、ボーイング・オーストラリアの関係者から説明を受けていました。
日本も開発に参加している次世代戦闘機「GCAP」では、無人機との連携能力が含まれていることから、本機の存在を注視している模様です。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
自分から撃てないと言う恐ろしく理不尽な誓約を課されている自衛隊には絶対に必要な装備であるし、有人飛行機の随伴機が攻撃された場合は自衛権が発生することを明確にするべきだと思う。