「北海道へ渡ったE2系新幹線」どう改造する? もうJRの車両じゃない! 今後の“重要な任務”とは
JR東日本の東北・上越新幹線を走っていたE2系新幹線が、2025年4月に函館港に陸揚げされました。今後、どのように改造され、どのように使われるのでしょうか。
200系カラーのまま「第二の人生」へ。運行区間は?
――試験車両の運行区間と運用はどうなるのでしょうか?
函館新幹線総合車両所を拠点に、新青森~新函館北斗間を走行する予定です。なお、試験列車の運用については、建設主体である当機構より、JR北海道への委託を前提に関係者間で調整中です。
――試験車両となった際には形式名・編成番号はどう変わるのでしょうか? また、試験車両としてどれくらいの期間使用する想定でしょうか?
現時点では未定です。
――新潟から新函館北斗までは新幹線の線路でつながっていますが、船で輸送したのはなぜでしょうか?
本線経由で回送するためには車両改修を行う必要があるため、海上輸送としたところです。
――今後さらに別の編成も譲受する予定はあるのでしょうか? 最終的に試験車両は何編成とするのでしょうか?
現時点では新たな車両調達の予定はありません。試験車両の編成数は未定です。
――試験車両とのことですが、イベントなどで乗客を乗せて走らせたりする可能性はあるのでしょうか?
ありません。
※ ※ ※
現在、北海道新幹線には、新幹線と貨物列車が線路を共用して走る区間があり、通常時は新幹線の走行速度を落として運行されています(青函トンネル内は160km/h、トンネル前後の明かり区間は140km/h)。
この速度制限を解消することが望まれており、JR北海道はこれまでも、貨物列車の運行が少ないゴールデンウィークやお盆期間などに、営業列車を用いてトンネル内で260km/hで走行する試験を行ってきました。
今後はトンネル部分(約54km)に加え、その前後にある地上の「明かり区間」を含めた約82kmで、ゴールデンウィークやお盆期間などに260km/h走行することを目指します。これにより、所要時間は合計で現行より14分短縮できる見込みです。
2025年度から走行試験用の車両およびシステム改修が行われ、今後検討が順調に進めば2028年度に高速化が実現する見込みです。この高速走行試験に使用されるのが、北海道へやってきた200系カラーのE2系というわけです。
なお、青函トンネルの高速化をめぐっては国交省が以前、新幹線の営業列車が高速走行する前に線路状況などを確認する「確認車」として新幹線車両(E2系)を改造する案を示したことがあります。ただ、今回JR東日本から譲渡されたE2系(J66編成)の改造は、「確認車への転用とは内容が異なる」(鉄道・運輸機構)といいます。
ちなみに、「緑と白」塗装の新幹線が北海道に渡るのは、今回が初めてではありません。2022年に廃止された函館本線の流山温泉駅(七飯町)には、北海道新幹線の誘致に向けた機運を高めることを目的として、駅前広場に200系新幹線が置かれていました。現在は北海道新幹線の札幌延伸が決まり、役割を終えたため、解体されています。
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