「中古の空母」で保有国の仲間入り!? アジアの大国が白羽の矢を立てた“40年モノ”一体どう使うの?
海軍力の充実化を急ピッチで進めているインドネシアが、かつてイタリア海軍で運用されていた軽空母「ジュゼッペ・ガリバルディ」の導入を模索していると報じられました。波乱万丈の経歴を持つ40年選手の空母、どう使うのでしょうか。
デカい新人の登場でお役御免に
「カブール」はヨーロッパ方面だけでなく、中国への牽制を念頭に置いてインド太平洋にも展開。2024年8月にはイタリア空母として初めてに訪日も果たしています。ただ、「カブール」には姉妹艦がなく、同艦が使用できない時に、導入したF-35B戦闘機を艦艇に搭載して展開させることはできなくなります。
このためイタリア海軍は「カブール」がドック入りなどで使用できない場合、F-35Bを運用するSTOVL空母としても使用できる強襲揚陸艦「トリエステ」を建造し、2024年12月7日に就役しました。これに先立ち同艦の戦力化の目途が立ったことから「ジュゼッペ・ガリバルディ」は同年10月1日に退役、39年間に及ぶ現役生活にピリオドを打ちました。
退役した「ジュゼッペ・ガリバルディ」には、一時期ロケットを打ち上げる洋上プラットフォームに改造されるという話がありましたが、いつの間にかその話は雲散霧消してしまい、スクラップとして解体される可能性が高くなっていました。
もしかするとインドネシアで「無人機どっさり空母」に…?
インドネシアは近年、海軍の強化を進めており、老朽化したアフマド・ヤニ級フリゲートを置き換える水上戦闘艦をイタリアから導入。日本とももがみ型護衛艦の輸出型「FFM」の導入に向けた話し合いを進めています。インドネシア海軍の強化計画には航空機運用能力の高い、全通甲板を備えた艦艇も含まれています。

この艦艇には、インドネシアの造船メーカーPT PALが新造艦を提案していますが、価格が高いことからインドネシアは他の手段も模索しており、その過程で「ジュゼッペ・ガルバルディ」に白羽の矢が立ったというわけです。同艦は2003年に大規模改修を完了しており、ヘリコプター空母としてならば、今後も長期間運用できると考えられています。
インドネシアは、ウクライナがロシアとの戦いで使用しているトルコ製UAS(無人航空機)「バイラクタルTB2」の艦載機型「バイラクタルTB3」を60機導入することを決定しています。インドネシアが導入する全通甲板を備えた艦が、新造艦になるのか「ジュゼッペ・ガリバルディ」になるのかはわかりませんが、その艦は単なるヘリコプター空母ではなく、多数のUASを運用する「無人機どっさり空母」になる可能性もあります。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
コメント