虚しさ漂う「クイーンビートル」の最後 JR九州希望の新造船が5年で“争奪戦”になるまで 「良い船だと今でも思う」
「浸水隠し」などが明るみに出て建造5年で売却となったJR九州高速船の「クイーンビートル」。最後は争奪戦の様相となり、韓国の船社に決まりました。あまりに強い逆風のなかでデビューした“半生”を振り返ります。
建造からわずか5年 国内外から引き合い
JR九州は再発防止策を発表するとともに、「クイーンビートル」の運航再開を模索していたものの「ハード対策を施しても船体へのクラック発生のリスクを完全に払拭することができず、運航再開のための確実な安全が担保できない」と判断。2024年12月に船舶事業からの撤退を表明しました。

関係者は事象を報告すると運航を止められるという危機感から「安全に走れるという判断を自社でしてしまった」と振り返ります。
「良い船だと今でも思う。ジェットフォイル以外の選択肢を奪ってしまい、離島の皆さんには申し訳ない」(関係者)
JR九州の広報によると「クイーンビートル」は国内外のさまざまな会社から引き合いがあり、その中で「早期の引き渡しという双方の条件が一致」したため、「パンスターラインドットコム」への売却が決まったとのこと。ただ、玄界灘の波に耐えられる強度の補修が難しいと判断した経緯もあり、売却の条件で日本と韓国を結ぶ就航は行わないことが盛り込まれています。
パンスターグループは今月、釜山―大阪航路に新造フェリー「パンスターミラクル」(2万2000総トン)を投入したほか、釜山―対馬航路で高速船「パンスター対馬リンク」を運航しています。同グループでは韓国を拠点としたクルーズ事業の拡大を目指しており、「クイーンビートル」がどのように活用されるか注目されています。
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