絶対に「無料」はない ETC大規模障害1か月で「料金還元」へ 合理的な判断を阻害する法律 実質なにも変わってない!

長い渋滞とその影響による追突事故も起きたNEXCO中日本のETCシステム障害。それでも利用料金の支払いを求めていた姿勢を同社は一転し、実質無料の「料金還元」を決めました。高速道路史上まれに見る「還元」施策から、課題が見えてきました。

「無料」ではなく「還元」にこだわる理由

 高速道路会社を縛る道路整備特別措置法は、通行料金を徴収しなくてもいいケースについても明確にしています。前述の24条には「『緊急自動車等』の運転者等については、この限りでない」とも定めていて、これも高速道路会社が、ETCシステム障害については払い戻しの対象にはならないと考える根拠となっています。

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中野洋昌国交相(中島みなみ撮影)

 さらに、高速道路各社の供用約款は、天井板崩落事故のような物理的な構造物損傷について損害賠償を定めていますが、今回のシステム障害のようなケースは想定していなかったことが明らかにされています。

 ただし、5月2日に表明された利用者全員に対する還元(=払い戻し)が、損害賠償的な考え方に戻づいているわけではありません。このことを端的に示すのが、中井俊雄保全企画本部長の「無料ではない。通行料金を請求した上で還元する」という発言です。

 法律の定めにより通行料金を徴収する形は貫き、その後に、通行料金に相当する金額を払戻す。そうしないと、高速道路会社としては整合性が取れないという立場です。しかし、今回の大規模障害の対応では、法律が合理的な経営判断を阻害している側面があります。

 今回の通行料金問題は、大規模障害に対するマニュアル不備が大きな理由とされています。有識者とNEXCO3社が参加する検討委員会では、大規模システム障害でのマニュアル策定が大きな焦点になっていますが、法律はこのままの解釈でいいのでしょうか。大株主である国土交通省も踏み込んで考えるべき問題です。

【画像】ETC障害時の「料金を取り戻す」方法(画像)

Writer:

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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