「え、あの車両やめちゃうの?」「わざわざ新車入れるの?」がなぜ相次ぐのか ローカル線車両の“替え時” 元経営者が語る

古い車両が走るのが一つの魅力でもあったローカル線で、車両の引退や、コストがかかっても車両を“新造”するケースが相次いでいます。苦しい懐事情のなかで、各社はどのように車両の入れ替えを判断しているのでしょうか。

非電化はツラいよ 年々上がるコスト

 ローカル鉄道では地上設備が軽く済むためディーゼルエンジンで走る気動車が多く使われます。気動車は電車に比べて圧倒的に数が少なく、構造も複雑です。近年では排出ガスへの規制もかかり、環境コストも上昇しています。

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古い車両の維持には相応の要員が必要。写真は大井川鐡道(乗りものニュース編集部撮影)

 このため、製造コストも上がり続けています。ならば「いま流行りのバッテリー式にすれば」と思われるかもしれませんが、バッテリー駆動では充電設備(変電所)など地上設備への投資が必要です。また、充電時間がかかれば運用効率は下がりますし、バッテリーで重量が増せば線路への負担も増えます。

 ディーゼル発電とモーターのハイブリッド車も構造が複雑になり、重量も増すので、なかなかコストダウンになりません。さらに近年では半導体不足、人手不足などによりメーカー側の車両製造のハードルも上がっています。

 こうした状況から、古い車両を使い続けるか、中古車両を購入するか、車両を新造して長く使うかは、各社が置かれた事情によって判断が分かれています。ローカル鉄道のもともと苦しい懐事情の上に、部品の確保難、人手不足、新造価格の高騰が加わり、ますます厳しくなっています。

【60何年ぶりとか続出!?】ローカル線の「新型車」たち(写真で見る)

Writer:

1987年早大理工卒。若桜鉄道の公募社長として経営再建に取り組んだほか、近江鉄道の上下分離の推進、由利高原鉄道、定期航路 津エアポートラインに携わる。現在、日本鉄道マーケティング代表として鉄道の再生支援・講演・執筆、物流改革等を行う。

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