トランプ命名 車の「ボウリング球テスト」一体何のため? 日本の交通事故死者削減に直結 アメリカには不必要?
アメリカによるクルマ部品への追加関税が発動。トランプ大統領は米国内で実施されていないことを背景に、日本の車両安全規制を「ボウリング球テスト」と称してやり玉にあげました。この検査、日本にとって実はかなり重要。日米の交通環境の違いから説明します
ボウリング球は「人の頭」 運転者にもメリット
「歩行者頭部保護性能試験」は、自動車が一定の速度で歩行者をはねた時、ボンネットやフロントガラスに衝突した歩行者の頭部への衝撃をどのくらい和らげることができるかを測定する試験です。ナスバの担当者は次のように話します。

「半円形の物体は『頭部インパクタ』と呼ばれ、大人および子供の頭部を模擬したダミーです。衝突試験では胴体と手足が付いた人体ダミーを使うこともありますが、この試験では頭部インパクタが受ける衝撃を測定して、頭部傷害値(HIC)として評価します。人体ダミーを使うと、頭部傷害値にばらつきがでてしまう可能性があるため、試験条件を一定にするために頭部インパクタを使っています」
ナスバでの歩行者頭部保護性能試験は、自動車の歩行者に対する衝突速度を速度50km/hと想定して、頭部インパクタを速度40km/hで発射します。頭部傷害値が低いほど歩行者保護性能が高いと評価されます。
「ボディがへこまないためのテストではなく、頭部がクルマに衝突した際の衝撃を和らげるため、車両によってへこむことを想定しています」(前同)
ちなみにアメリカでは、歩行者の頭部保護性能試験は実施されていません。
国内の交通死亡事故の特徴は、歩行中の被害者の割合が、常にいちばんの要因にあげられることです。歩行者の被害は、おもに四輪車との衝突です。一方、アメリカでは、日本だと最下位の要因である「四輪車乗車中」の割合が筆頭に上がります。
日本のように車両と歩行者が交差しやすい交通環境では、歩行者保護機能が高いことが運転者にもプラスに働きます。アメリカのように歩車分離が進む環境で、比較的走行スピードが高い対車両事故が多い環境下では、頑丈な車体や、運転者の保護が優先されるのかもしません。そんなケースでも、対歩行者の事故では保護機能が有利に働くはずです。
日本では関税交渉に向けて輸入自動車の安全や環境性能の審査に関する特例の拡充が検討されています。アメリカ車の歩行者保護性能の高さをアピールすることにもなる「ボウリング球テスト」。無審査になると、そのチャンスが失われることになります。
ナスバだとアセスメントになるから法的義務がない話になる
正しくは国連のUNECEのUN R127試験で頭部衝突性能試験がある。
これはそれを採用している欧州や日本では法的義務
アメリカは独自のFMVSSが法的義務だけど、これには頭部衝突性能試験がない
参考に、欧州車もこの頭部衝突性能試験を実施している
ナスバはUN R127の基準を厳しくして情報提供しているだけ