有楽町線の「足立区延伸」に追い風?「八潮以北を先に建設してTX直通は困難」都心側から延伸する方向に!?

東京メトロ有楽町線には、野田市までの延伸計画があります。これまでは「八潮~野田市間の先行整備」が想定されてきましたが、雲行きが変わってきたようです。

八潮~野田市の先行整備→都心側から延伸に!?

 東京都足立区は2025年4月、有楽町線(地下鉄8号線)の区内延伸に向けた取り組み状況を報告しました。その中で、同じく有楽町線の延伸を目指している千葉県野田市が、これまで想定していた八潮~野田市間の先行整備ではなく、都心側から延伸を誘致する意向を示したことを明らかにしました。

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有楽町線の車両(画像:写真AC)

 東京メトロ有楽町線は“分岐線”として、豊洲駅から住吉駅までの新線が2024年11月に着工しており、2030年代半ばに開業する予定です。これをさらに住吉駅から押上駅、亀有駅、八潮駅を経て野田市まで延伸する構想もありますが、こちらはまだ具体化はしていません。

 押上~野田市間(30.5km)の整備は、国の新たな鉄道整備の方向性となる交通政策審議会答申に盛り込まれており、「事業主体を含めた事業計画について十分な検討が行われることを期待」するとされています。

 この野田市までの延伸構想は、埼玉県の草加市、越谷市、八潮市、吉川市、松伏町や千葉県野田市といった行政で構成する「地下鉄8号線建設促進並びに誘致期成同盟会(会長:野田市長)」が主体となり、まずは「八潮~野田市間の先行整備」を目指して要望・調査を実施。八潮駅でつくばエクスプレス(TX)に乗り換える案と、そのままつくばエクスプレスに直通する案を示していました。

 ただ2023年に期成同盟会に新規加入した足立区は、「八潮~野田市間の先行整備」ではなく、都心側の豊洲~住吉から区内を通り、野田市方面へ延伸することを目指しています。過去に区がまとめた事業計画案では、区内には2駅を設置し、有楽町線や半蔵門線との直通運転を想定した10両編成で毎時6本を運行することを想定。これにより、北東部(大谷田、六木周辺など)の鉄道不便地域を解消できるとしています。

 足立区によると、2025年3月に同区の工藤信 副区長が野田市の今村繁 副市長を訪問し、有楽町線の延伸誘致に関する認識を確認したとのこと。

 ここで野田市の今村副市長は「現在では沿線状況が変化し、つくばエクスプレスの混雑状況なども踏まえ、八潮駅への直通は現実的に困難という考えに至っている」とした上で、「当市としても答申のとおり、都心側からの延伸で誘致していく考えである」と発言したとしています。

 つくばエクスプレスは沿線開発が進み、年々混雑が悪化しており、多数の列車が運行されている八潮~秋葉原間に有楽町線の先行整備区間(八潮~野田市)の列車が乗り入れるのは難しくなった形です。

 ただ、現時点では都心側からの延伸にせよ八潮~野田市間の先行整備にせよ、実現の目途は立っていません。なお、押上~野田市間の事業化に向けた課題としては、速達性の向上による需要喚起、沿線開発計画の取組、東埼玉道路との一体整備による建設計画の深度化などが示されています。

【画像】これが有楽町線「足立区延伸」のルート図です

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