「どうせ命中しないだろ」→ドカン “イタリア最後の戦艦”が世界で唯一の「誘導弾で撃沈された戦艦」に 落としたのは“同盟国”のナゼ

第二次大戦中、イタリア艦隊の戦艦「ローマ」が、同盟国であるはずのドイツの爆撃機によって撃沈されました。世界で初めて「誘導弾に沈められた船」の最期を追います。

完成したけれど時すでに遅し

 しかし「ローマ」が就役した頃、戦局は枢軸国にとって不利な状況で、燃料不足も深刻でした。そのため、「ヴィットリオ・ヴェネト」級は本土の軍港で防空用の浮砲台になり、連合軍の爆撃に晒されていました。

 さらに約1年後の1943(昭和18)年5月、イタリア半島の目の前にあるシチリア島に連合軍が上陸を開始します。この責任を取らされてムッソリーニが失脚。後継のバドリオ政権は休戦協定を模索し始めます。

 この頃、イタリア海軍は、連合軍の本土上陸に備えて艦隊総司令官カルロ・ベルガミニ提督の旗艦「ローマ」と、「ヴィットリオ・ヴェネト」、それに「リットリオ」改め「イタリア」の戦艦3隻を主力に、軽巡洋艦3隻と駆逐艦8隻を北西部の軍港ラ・スペルツィアで待機させました。

 1943年9月9日、艦隊は連合国艦隊をサレルノで迎え撃つため出航したところ、休戦協定締結のニュースが入り作戦は中止になります。休戦協定の条件にはイタリア艦隊の引き渡しが含まれていました。翌10日朝にジェノバから来た軽巡洋艦3隻が合流し、指定されたラ・マッダレーナ島に向かいます。

 この艦艇引き渡しに危機感を覚えたのが、同盟国だったドイツでした。休戦協定を受けて、ドイツ軍はイタリア艦隊が連合国の手に落ちるのを阻止するため、イタリア軍守備隊のいたラ・マッダレーナ島を占領したのです。

 スペルマリーナ(イタリア海軍参謀本部)は、ドイツ軍から攻撃を受けたら対応するようベルガミニ提督に命令して、イタリア艦隊は目的地をアルジェリアに変更します。

秘密兵器「フリッツX」

 イタリア艦艇の引き渡しを阻止すべく、マルセイユ近郊を出撃したドイツ空軍第100戦闘航空団のドルニエDo217爆撃機の編隊は10日午後イタリア艦隊を捕捉しました。このとき、ドイツ軍のDo217はルールシュタールSD1400X(愛称「フリッツX」)を搭載していました。

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ドイツ軍の秘密兵器.「フリッツX」(画像:Alf van Beem < CC0 >)

 このフリッツXはミサイルのような推進装置がなく、母機から無線操縦で爆弾本体の安定翼を制御する自由落下式の誘導爆弾でした。スマート爆弾(誘導爆弾)の元祖にあたります。これは、高度5000m以上で投下後、爆弾の尾部から発するフレアを母機の爆撃手が望遠式照準器を見ながら、手元のジョイスティックで操作する仕組みです。

 ドイツ軍はロケット推進の無線誘導爆弾ヘンシェルHs293と共に、フリッツXを8月からイタリア戦線に投入しており、連合軍は謎の新兵器を警戒していました。

【驚異的な威力…】これが、戦艦「ローマ」を沈めた瞬間です(写真)

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コメント

4件のコメント

  1. これと同じ事がフランス降伏後のフランス海軍でも起きていたし、「第一次世界大戦」後にはドイツ海軍の艦艇がスカパフローで大量自沈している。

  2. イ号一型乙無線誘導弾の画像が、イ号一型甲無線誘導弾です。

    乙型の写真はあまりありませんが、違う写真は誤解を与えます。

    あとイ号一型甲無線誘導弾は、乙型以上に成功していますし、実戦配備寸前でしたのでその情報もないと日本の技術を貶める誤解を招きます。

  3. txxmの広告止めて下さい

  4. この記事ではどうせ命中しないだろとか高をくくっていたとか、まるで乗員が油断してて何もしていなかったかのような書き方がされているけど、ちゃんとローマは回避行動も取ってたし対空砲火を撃ってもいた

    この記事のような表現には正直不快感を覚える