これぞ“新たな鉄道!?” 「レール1本」かつ「架線レス」 三菱重工の新型「新交通システム」が超意欲的だった!
三菱重工業が新型の「新交通システム」を開発。従来方式と比べてインフラの大幅なスリム化も可能になりました。いったいどのような場所への導入が想定されているのでしょうか。
「架線」要りません! 駅で急速充電して走る“電車”
三菱重工業は2025年5月19日、同社が開発し市場投入した次世代新交通システム「Crystal Moverファミリー」の新ブランド「Prismo」を三原製作所和田沖工場(広島県三原市)で報道関係者に公開しました。

「Prismo」の開発責任者である田代太郎氏(モビリティエンジニアリング部主席プロジェクト統括)は「1番ビジネスが難しい公共交通機関に投入するシステムとして、長く皆様のお役に立てるような製品を作っていきたい」と意気込みます。
新交通システムは鉄道の一種で、東京の「ゆりかもめ」や「日暮里・舎人ライナー」など、専用軌道上の“案内軌条”に従ってゴムタイヤで自動走行するAGT(全自動無人運転車両システム)と呼ばれる方式が知られます。これらは、給電用のレールと、軌道の左右に配置されたガイドレールに沿って車両が進むサイドガイド方式が一般的です。
これに対し、今回の「Prismo」最大の特徴は「センターガイド方式」であること。車両の真下に配置された1本の案内軌条に沿って走ります。
その最高速度は80km/h。カーブの最小旋回半径は22mで、10%の勾配まで対応できる高い登坂力を持ちます。ゴムタイヤ式車両の特長である低振動・低騒音と合わせて、住宅が密集しているエリアでの導入も期待できそうです。
さらに、GXセグメント長代理 藤岡健治理事は「Prismo」のもう一つのキモとして、「従来は駅と駅との間に給電レールがあったが、車両への充電を駅で行うことによって、駅間の軌道から給電レールをなくした」と話します。
そのカギとなったのが、三菱重工が新たに開発し初採用となったエネルギーマネジメントシステムです。各停車駅での急速充電と走行中の回生蓄電を融合させることでエネルギー効率を高めました。各駅での充電時間はわずか30秒。充電時の最長走行距離は2kmです。万が一、地上で停電が発生した場合でも、次の駅までバッテリーだけで走行できます。
同車のエネルギーマネジメントシステムのプラットフォームに搭載する蓄電モジュールは、三菱電機と武蔵エナジーソリューションズが共同開発している次世代蓄電モジュール「MHPB(Mitsubishi High Power Battery)」を、AGT用にカスタマイズしたものです。
「今回『Prismo』を発表できたのは、この蓄電デバイスを車両に乗せて、公共交通機関に投入できるバランスが取れたシステムを提案できる状態になったためだ」(田代統括)
西武山口線が車両を新潟鉄工製から三菱重工製に置き換えるけど、もしかして…