列車の「非常通報ボタン」押すとどうなる? 実は120年で超進化 むやみに押してはいけない、もっともな理由
新幹線や都市部を走る列車には、車内に非常通報装置や非常通話装置が備え付けてあります。これらの装置のボタンを押すことで乗務員に危険な状況を知らせることができます。これらの装置はいつからあり、そのほかにどのような特徴があるのでしょうか。
明治時代から進化してきた非常通報装置
列車の非常通報装置や非常通話装置は、客室内に1~2か所備えてあります。車両によって違いはありますが、車いすスペースなどをはじめ、窓の横や車両連結部付近など、客室の壁面に備えてあるのが基本です。

2021年に起きた京王線や小田急線列車内での傷害事件を受けて、非常通報装置や非常通話装置は赤色の目立つ文字での表示や、「SOS」と描かれたピクトグラムで設置位置を明確にする対策が施されました。また、使用方法をより分かりやすくするため、イラストでの表示や注意書きも表示されるようになっています。
列車内の危険を知らせる装置の始まりは、日本国内では明治時代にまで遡ります。1899(明治32)年に、東海道線の長距離列車で「列車内警鈴」が試験的に導入されました。これは客室内に通した紐(ひも)を乗客が揺らすと、車掌室にある警報鈴が叩かれ、危険を知らせるという、極めてアナログな仕組みでした。
現在のようなボタンを押すとブザーが鳴る仕組みの非常通報装置が広まるのは1950年代以降だったようです。当初は、ブザーが鳴った車両に乗務員が駆けつけて対応するもので、現在も非常通報装置が使われたら、その場所に向かうことが原則になっています。
1971(昭和46)年に登場した都営新宿線の試作車(10-000形)や、1977(昭和52)年に開業した神戸市営地下鉄西神線(現在の西神・山手線の一部)の1000形は、非常通報装置に乗務員と通話できる機能が加わり、乗務員室にいながら客室の状況を把握できるようになりました。
さらに、1987(昭和62)年に開業した仙台市営地下鉄南北線の1000系の非常通報装置には、乗務員が対応できない場合に運行指令部門と通話ができる機能が備わりました。また、非常通報装置に通話機能が加わったことで、非常通話装置とも呼ばれるようにもなっています。
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