“新幹線並み”の在来線特急、今後どうなる? JR北海道初の“画期的”特急形電車、今も破られない俊足の記録

北海道最大の都市・札幌と、第二の都市・旭川を結ぶ函館本線に、画期的な高速化を狙って1990(平成2)年に登場したのが、785系電車です。現在は室蘭行き特急「すずらん」として活躍を見せる785系の誕生の経緯とこれまでの足跡を取り上げます。

今も破られない80分の記録

 785系による特急「スーパーホワイトアロー」は、札幌~旭川間を1時間20分(表定速度102.6km/h)で結びます。これはノンストップではなく、岩見沢、滝川、深川の3駅に停車して達成したものでした。その後、JR北海道が安全対策として最高速度を120km/hに落とし、1時間25分(表定速度96.5km/h)に延びたため、この記録は現在でも破られていません。

 785系は、登場から12年を経た2002(平成14)年に、大きな変化が起こります。中間電動車のモハ784・785形500番台を増備したのです。これは「スーパーホワイトアロー」の停車駅を増やしても所要時間を延ばさないために、編成の電動車比率を上げるための措置でした。

 鉄道車両は一般的に、引退時期が大きくずれないよう同じ形式は同じ時期に製造されます。これを踏まえると、785系の登場12年後の増備は、かなり異例といえます。

 増備車両は座席間隔105cmとグリーン車に迫り、電源コンセントも備えたハイグレードな普通車指定席「Uシ-ト」で設定されたため、785系は「2クラス」になりました。

 また、2010年に「Uシート」組み込みでの5両編成化で余剰となった2両が、津軽海峡線の特急「スーパー白鳥」789系の増結用として300番台となりました。

 活躍を続けていた785系でしたが、北海道新幹線新函館北斗開業で余剰となった789系が札幌都市圏に転用され、廃車が始まります。

 37両製造された785系のうち、25両が廃車され、残った12両が現在では特急「すずらん」に、789系1000番台との共通運用で使われています。

 共通運用のため確実に乗車できるわけではありませんが、画期的な高速化を実現した785系。その活躍を見られるのは後わずかでしょう。なお、残存車両は座席交換が行われ、最新車両に遜色はありません。4号車は旧Uシート車両なので、指名して指定券を購入すれば、より快適に過ごせます。

 なお、JR北海道は、北海道新幹線札幌駅開業に合わせて「軌道強化、線形改良、最高速度向上、高架化による踏切解消」により、札幌~旭川間を最速60分を目指す方針を2024年に示しており、785系が目指した超高速特急が近い将来に実現するかもしれません。

【落ち着いた客室】785系の外観と車内をたっぷり見る(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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1件のコメント

  1. スーパーホワイトアローは途中、岩見沢・美唄・砂川・滝川・深川停車で80分だったかと思うのですが?