バスの「トランクに人閉じ込め」も 置き去り事故は運転手の“思い込み”が原因? 装置だけでは「防げない」
通園バスの「園児置き去り」や、バスの「キャリースペースに人間が置き去りのまま一定距離を走った」といった事故が発生しています。こういったバスドライバーによる事故は、どんな心理やケアレスミスによって起こるのでしょうか。
「それイイね!」バスの安全管理アイディア集は一般車にも応用可能
そこで、島崎先生の研究グループは、特に保育園・幼稚園バスにおける現場の事故防止の取り組みを複数の園関係者から聞き取り、アイディア集に落とし込んだといいます。これこそが、前出した『明日からできる園バスの安全管理~現場の工夫とアイディア~』です。WEBでも公開されています。

アイディア集の中には、例えば次のような工夫が書かれています。
・出発時に窓を少し開けておくことで、最後に窓を閉める=車内確認につながる
・園児同士がお互いを気づかい、声を掛け合うような「思いやり」を育てる教育をする
・スタッフ間からの報告や改善のアイディアなどが出やすい職場の雰囲気を作る
これらの中には、バス以外の一般乗用車で起きる「窓の閉め忘れ」「荷物の取り忘れ」といった「うっかり」を減らすのに応用できるものも含まれています。
他方、島崎先生はバスで起きる「置き去り」などの車内事故の防止には「悪いことを減らす取り組み」だけでなく、「良いことを増やす取り組み」も必要だとも言います。
「置き去り事故防止装置やマニュアル整備のような制度的対策は大切ですが、それに加えて、現場で工夫している人の取り組みを見える形で共有し、『それいいね』『真似したい』と評価する“文化”をつくることが、より大きな安全向上につながるのではないでしょうか。
安全のために工夫している人たちの努力をきちんと拾い上げて、称賛し、広めていくこと……それが『良いことを増やす』取り組みであり、現場に根ざした安全文化を育てていくためには欠かせない視点だと私は考えています」(島崎先生)
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
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