「異形の新型路面電車」上からも目立つ!? 嵐電「京紫」編成は古都の街並みにどう映る? 空から見てみた
京福電気鉄道「嵐電」は京都洛西に嵐山本線と北野線の路線から成り、嵐山本線は併用軌道もあります。京紫色をまとう嵐電は上空からどのように見えるでしょうか。
人、人、人の嵐山から出発
さて、前置きの歴史が長くなってしまいましたが、2025年4月初めの京都は桜が満開になりつつあるときでした。平日とはいえ、桜が満開となる晴れ模様の嵐山は、人、人、人です。渡月橋、嵐山公園、竹林の小径など、観光客がいない場所は見当たりません。これが休日となったら、道路に人があふれているかもしれません。

嵐山の地形は、洛西の拓(ひら)けた街並みが愛宕山や小倉山などの山々に阻まれ、桂川も上流は保津峡の急流となります。古都らしい瓦屋根の家々と寺町が広がる街並みに、周囲と調和を保った嵐電嵐山駅があります。
駅舎は屋根もシックで周囲と同化しており、上空からだと見つけるのに一苦労しましたが、街並みに溶け込んでいて好感を持ちました。街並みと調和を保つことの大事さを感じます。
嵐電の電車は単行運転だけでなく、撮影日は2両編成でした。車体色は嵐電100周年記念から新標準色となった「京紫」です。紫色の単色はあまり例がなく、似合うのかなと不安に思えてしまいますが、上空から見ると意外と古都の街並みを邪魔せず、程よい差し色となっていました。
上空から北野線の下り電車を追い、西大路通に面した終点の北野白梅町駅へ。線路は西大路通を越えた先の今出川通りへと延び、北野天満宮付近に終点の北野駅がありましたが、1958(昭和33)年に軌道を京都市電へ譲るかたちで廃止となっています。その痕跡は道路へと変わり、上空からでも判別できませんでした。
嵐山本線は、広隆寺、併用軌道、沿線の桜と、嵐電の代表的光景を捉えました。そして嵐電といえば、24年ぶりの新車となるモボ1形「KYOTRAM」の存在です。2025年2月28日に営業運転を開始した車両で、丸みを帯びた大胆な正面スタイルが特徴となっています。箱型の車両が占める嵐電にとっては異形の存在と言えましょう。
空撮はドローンではなく、固定翼機(セスナ機)からの撮影です。桜の満開となった晴れ日という限られたチャンスで実施し、当日は雲影と強風に悩まされましたが、洛西を駆け巡る路面電車、嵐電と古都の街並みの上空視座をご覧ください。
※内容を一部修正しました(16日9時半)。
Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。
「西大寺通り」じゃなくて「西大路通り」ですよ。文中で何度もお間違いになっているので、変換ミスではなく、奈良の「さいだいじ」と混同されているのでは?
ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。