渋滞する幹線道路を避けて川に出たら「ものすごく狭い橋」に出会ったのですが… 長~い橋だけじゃない 埼玉の「沈下橋」たち

埼玉の荒川水系を超える橋は各所にありますが、混雑時には渋滞しがち。しかし、ナビでは案内されないような小さな橋もあります。実は埼玉は、知られざる「沈下橋」の多い地域でもあります。

大河「荒川」の細い支流にかかる短い橋たち

 埼玉県の中央地域と西部地域を分ける「荒川」。各所に架けられた長い橋には交通が集中しがちで、朝夕の混雑時の渋滞が顕在化しているところもあります。

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荒川水系・入間川支流の越辺川(おっぺがわ)に架かる木造の沈下橋、島田橋。幅員1.8mまでの車両通行が可能。ドラマのロケに使われることも(画像:PIXTA)。

 ところが荒川水系には、こうした両岸を直接結ぶ長い橋とは別に、“知る人ぞ知る橋”がいくつも存在していることをご存じでしょうか。

 じつは荒川の中流域では、堤防と堤防の間の大部分が河川敷や藪となっており、幅わずか数メートルから十数メートル程度の本流やいくつかの支流が、そうした河川敷や藪の中を流れています。そして、それらの細い流れの部分だけを渡る短い橋が、必要に応じて架けられているのです。

 こうした橋は、豪雨などで荒川が増水した際には川の中に沈むため、「沈下橋」や「冠水橋」と呼ばれます。沈下橋は四国の四万十川などが有名ですが、実は埼玉にも多く存在します。こうした橋のなかには、増水時に橋そのものが川の流れで破壊されないよう、欄干などは必要に応じて取り外せる鉄柱やロープなどの簡易的な構造をしているものもあります。

 沈下橋の多くは堤防から離れており、一般のドライバーの目にとまることはほとんどありません。ただその一部は、地域交通の重要なルートとして機能しています。

沈下橋経由の短絡ルートも

 その代表例が、荒川の支流である入間川にかかる「出丸橋」と、本流にかかる「樋詰橋」です。ふたつの橋を通るルートは、埼玉県川越市北東部と桶川市南西部もしくは上尾市西部を短絡する近道となっています。

 この区間を幹線道路で走るには、入間川を「入間大橋」で、荒川を「開平橋」で渡る南回りの県道51号を使うか、入間川(および支流の越辺川)を「釘無橋」で、荒川を「太郎右衛門橋」で渡る北回りの県道12号を使うことになります。

 しかし出丸橋から樋詰橋を通るルートは、その両県道のちょうど中間を走り、かつ交通混雑とは無縁のため、出発地と目的地によっては非常に都合のいい選択となります。

【地図/写真】これが「沈下橋」経由の荒川短絡ルートです!

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