えっ「戦車」じゃないんですか!? 装甲ボディ+大型砲塔でも “対空砲” 一体ナニが違うのか?
軍用の戦闘車両には様々な種類があり、砲塔がついていれば「戦車」だと思ってしまうかもしれません。しかし、実は見た目が戦車ソックリながら、単なる軍用車両や戦闘車両に分類される車両もあります。
様々な種類がある装甲戦闘車両
そもそも、戦車など相手の攻撃から乗員を保護する装甲で車体を覆っている戦闘車両のことを「装甲戦闘車両」といいます。英語の「Armored Fighting Vehicle」の頭文字をとって「AFV」という略称で呼ばれることもあります。

装甲の程度は車両によって様々で、戦車のように相手の戦車砲からの防御を考慮したものから、小銃や小口径の機関銃による攻撃に耐えられる程度の装甲しか持たないものまであります。一般に、装甲の厚みが増す(防御力が増す)と車重も増し、機動力が損なわれるので、目的に応じて装甲の程度と機動力のバランスが考えられています。
装甲戦闘車両のうち、戦車と見分けがつきにくいものの代表ともいえるのが、大きな砲を装備した自走砲でしょう。これは大砲(野砲)を牽引車なしでも移動できるよう機動性を高めたものです。戦車と比べて長距離(20km~40km程度)の目標を狙うため、山なりの弾道で射撃できるよう、砲身をかなり上の方まで向けられるところが戦車との相違点です。相手との距離も離れているので、装甲防御力も戦車ほど高くありません。
自走砲の中には、機関砲で航空機を撃墜する目的で作られた対空自走砲というものもあります。陸上自衛隊の87式自走高射機関砲や、ドイツのゲパルト自走対空砲が代表的です。なお、後者はドイツからウクライナに供与され、ドローンや巡航ミサイルの迎撃で効果を発揮しているといいます。
また、相手陣地まで接近し、時には軽く攻撃して反撃の状況で相手の戦力を分析する「強行偵察」や「威力偵察」と呼ばれる任務に使われる車両も、戦車に似た外観をしています。これは陸上自衛隊の87式偵察警戒車のように、主武装が大口径砲ではなく機関砲だったりしますが、車体が装甲に覆われ全周旋回が可能な砲塔を備えていたりします。
なお砲塔に装備するのが機関砲ではなく、フランスのAMX-10RCやイタリアのチェンタウロのように戦車並みの105mm砲である場合もあります。
M10ブッカーは不採用になったね。