えっ「戦車」じゃないんですか!? 装甲ボディ+大型砲塔でも “対空砲” 一体ナニが違うのか?

軍用の戦闘車両には様々な種類があり、砲塔がついていれば「戦車」だと思ってしまうかもしれません。しかし、実は見た目が戦車ソックリながら、単なる軍用車両や戦闘車両に分類される車両もあります。

装甲のない戦闘車両もあるの?

 地上での戦闘に使用される車両は、装甲が施されている車両ばかりではありません。ミサイルのように有効射程が長く、反撃を受ける可能性が少ない場面で使用される兵器の場合、装甲車ではない一般の軍用車両にミサイルランチャーを架装したものもあります。

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フランス陸軍のAMX-10RC装甲偵察車(画像:アメリカ陸軍)。

 陸上自衛隊で運用している中距離多目的誘導弾や98式多目的誘導弾システム、また航空自衛隊が運用する基地防空用地対空誘導弾の場合、装甲車ではないピックアップトラックのような汎用車両、「高機動車」にランチャーが架装されています。

 トラックなどの大型車両にミサイルランチャーが架装されるケースもあり、陸上自衛隊の03式中距離地対空誘導弾や12式地対艦誘導弾では「重装輪車両」と呼ばれる8輪駆動の大型車に、11式短距離地対空誘導弾では3 1/2tトラックにランチャーが架装されています。

 近年、飛んでくる砲弾を検知するレーダーや偵察ドローンといった観測装置の発達で、砲撃の発射位置が短時間で特定できるようになったため、自走砲もさらなる機動力が重視されるようになりました。そこで大型トラックに砲を装備するタイプの自走砲も登場しています。代表的なのは陸上自衛隊の19式装輪自走155mmりゅう弾砲やスウェーデンのアーチャー、フランスのカエサルなどです。

 ここまで挙げた各種車両を俯瞰して見てみると、軍用車両>戦闘車両>装甲戦闘車両という流れで、その装甲戦闘車両の一種として戦車が存在します。見た目が似ていても、任務によって装甲の程度や武装が異なっているので、よく注意して見分けるとよいでしょう。

【え、大型砲塔あるのに!?】米陸軍の「戦車」もどきの「戦闘車」(写真)

Writer:

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

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コメント

2件のコメント

  1. 今ではマイナーですけれど

    ここに対戦車自走砲とか突撃砲、駆逐戦車とかいれるともうカオス

  2. M10ブッカーは不採用になったね。