日本唯一にして最後の「信号機」を使う本州最北の私鉄 “アナログの装置”を動かすということ
かつて日本全国の鉄道路線に存在した腕木式信号機はほぼ姿を消しました。が、本州最北私鉄の津軽鉄道では、唯一現役で活躍しています。
「気がつけば」日本唯一の存在に
では、なぜ日本唯一の存在になったのか。津鉄によると「気がつけば、ウチが日本最後の存在となっていました」とのことで、構造が複雑ではないから使い続けているという理由でした。
とはいえ、腕木式信号機の取り扱いには注意しています。テコと信号機をつなぐワイヤーと滑車のメンテナンスをこまめに実施しつつ、毎回の操作も丁寧な取り扱いを忘れないことが肝要です。テコは重い鉄製ですが雑に扱わず、しっかりと最後まで手を握りながら上げ下げします。
「テコを乱暴に扱うと脚を打って怪我したり、弾みでワイヤーが損傷してしまいます」
とは、金木駅の駅員さん。ワイヤーはレールと同じく季節の寒暖差によって伸縮があり、伸びてしまうとたるみが生じ、テコは抵抗なく下がってしまいます。逆に縮みすぎると、ワイヤーが張りすぎてテコは最後まで降りきれません。
さらにワイヤーは積雪を考慮して高い位置に張られていますが、冬季は寒風にさらされて凍ることがあり、テコを少し動かすことによって凍った箇所が動き出す場合もあります。
ワイヤーは同じ箇所が滑車に当たり、使用していればやがては傷んでくるものです。これらの状態で無理して信号テコ作業を行うと、たるんで滑車から外れたり、縮みすぎてワイヤーが動かなくなったりと、信号機が使用不能になりかねません。テコ作業を丁寧に扱うと、ワイヤーが伸びてきたなど微妙な感触の違いが分かってきます。
もちろん月に1回の定期点検は実施していますが、目視で腕木の位置を確認し、腕木の動きに少しでも違和感があると、保線作業を行う線路管理所に連絡して調整をしてもらい、場合によっては一時的に使用中止をして、代用手信号を使用して対処します。金木駅を訪れたときは、ちょうど1週間前に調整が済んだばかりで、信号機の動きはスムーズでした。
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