日本唯一にして最後の「信号機」を使う本州最北の私鉄 “アナログの装置”を動かすということ

かつて日本全国の鉄道路線に存在した腕木式信号機はほぼ姿を消しました。が、本州最北私鉄の津軽鉄道では、唯一現役で活躍しています。

2駅3か所で現役の腕木式信号機

 鉄道信号機は様々な種類があります。日本初の鉄道は手動の機械式信号機も輸入され、その信号機とは、腕木と色付きレンズが上下に動いて信号の役割となる「腕木式信号機」でした。

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津軽五所川原駅場内信号機。上り列車が金木駅を発車後に腕木が降りて青を現示。列車が通過していく(2025年5月、吉永陽一撮影)

 我が国の腕木式信号機の一般的なタイプは、腕木が横になった「定位」で、赤を現示します。腕木が45度斜めに下がると「反位」で、青を現示します。役割によって出発、場内、通過、遠方など、いくつか種類があり、腕木の形状と色も異なりました。

 腕木式信号機の上下の動きは、駅舎側などで操作するテコと信号機を鉄索(ワイヤー)で結び、テコを動かすと腕木が動く仕組みです。信号機側は重錘(じゅうすい)と呼ぶウエイトと連動しており、重錘が下がると腕木は定位、上がると反位となります。万が一ワイヤーが切断されても重錘が自重で下がり、信号は定位(赤)で固定されるので、列車の誤進入は防止できます。

 ほとんどの腕木式信号機は職員が手動で操作するため、信号機の自動化が推し進められて姿を消していきました。1990年代~2000年代初めには、JRと私鉄のごく一部路線に残るだけとなり、JR東日本では2005年の八戸線が最後、2015年頃に福島臨海鉄道での使用が終了しました。

 そして2025年現在、腕木式信号機を使用する営業鉄道として唯一の存在が、本州最北端の私鉄、津軽鉄道(津鉄)です。津鉄は単線非電化、津軽五所川原~津軽中里間20.7kmの路線です。腕木式信号機があるのは津軽五所川原駅と金木駅の2駅3か所で、出発信号機ではなく全て場内信号機です。

 場内信号機は、駅へ進入する列車に対して進入可否を現示するもので、簡単に言うと駅構内の入口に設けます。腕木式信号機では腕木の長さが1200mmと決まっており、駅を出発する列車に対して現示する出発信号機の場合は、腕木の長さが900mmです。

 津軽五所川原駅は起終点であるから、津軽中里側の構内境界に1基あり、金木駅は上下列車の交換駅であるから、上下線それぞれの構内境界に2基あります。

 以前は津軽中里駅にも腕木式信号機がありましたが色灯式に変わっており、津軽飯詰駅は2004年の閉塞区間統合まで、腕木式信号機が使用されていました。

【今や貴重】腕木式信号機と駅員のテコ作業を写真で見る(写真)

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