新宿から「小田急」がほぼ消える…!? 激レア化していた長大バス路線「宿44」惜別! 70年以上の歴史に幕
東京都内の吉祥寺駅と新宿駅西口を結ぶ小田急バス「宿44」系統が、2025年6月に廃止されます。70年以上の歴史を持つ都内の長大路線バス系統として知られていますが、廃止を控えた今、乗ってみました。
別の「レア系統」に乗り継ぐ客も
甲州街道を東へ進むと、大原交差点で環七通りと交差します。「宿44」は環七通りをアンダーパスで通過。「宿44」の単独区間と杉並区のエリアは、この付近で終わります。

先の大原交差点から京王線初台駅付近にある東京オペラシティ南バス停まで、都営バスと京王バスが共同運行する「渋66」系統(阿佐ヶ谷駅~渋谷駅)などが重複。さらに、新宿付近では周辺を巡回する「新宿WEバス」と経路が重なります。
甲州街道の上を走っていた首都高が南へ分かれていくと空が開けてきますが、道路脇の建物がいつの間にか高くなっています。ビルの谷間を進むと、ほどなく新宿駅南口が見えてきます。ただ「宿44」は手前の西新宿一丁目交差点で左折して甲州街道から離脱。駅西口の京王百貨店の前を通ってロータリーに入ると終点の新宿駅西口です。
バスは折り返し「宿44」吉祥寺駅中央口行きとなり、これも満員に近い客を乗せて出発していきました。
取材時点(6月8日)での新宿駅西口のバス乗り場は、新宿西口ハルク(小田急ハルク)の前にある「35番のりば」で、かつてはこのバス停から小田急の箱根高速バスが発着していました。
なお、6月21日(土)からバス乗り場が変更され、「宿44」は26番乗り場(建て替え中の明治安田生命新宿ビル前)に移るため注意が必要です。
このバス停は、1年のうち6月のみ運行の「よみうりランド」行きや、付帯系統の若林営業所行きも発着します。よみうりランドから新宿駅西口にやってきたバスが若林営業所行きに変わる形で運行されています。これらのバスの乗り場も、35番から26番に移転します。
この日は目立った渋滞はなく、吉祥寺から乗車した「宿44」の乗客が、若林営業所行きのバス(11時55分発)に乗り継ぐ姿も見られました。
「宿44」は、1949(昭和24)年に開設された都営バス(東京都交通局)や京王バスとの共同運行路線をルーツとしたものです。戦後に都心と郊外を結ぶバス路線の一つとして、武蔵境駅南口~吉祥寺駅~永福町~新宿駅西口~四谷見附~東京駅南口に設定されたものでした。
長らく郊外と都心を結んでいた都内のバス路線が、一つなくなります。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
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