なぜ販売できるの!?「排ガス規制で不適合なバイク」新車登録OKなワケ「法律の抜け穴ってホント?」
排ガス規制により国内メーカーや大手インポーターが販売する新車から、公道走行可能なキャブレターのバイクは姿を消しました。しかし一部の輸入バイクにはキャブレター付きのバイクが存在します。なぜ新車販売できるのでしょうか。
キャブレター装備の軽二輪・原付が今でも買えるワケ
とはいえ、「原則として」と但し書きを入れたのは、じつはエンジン排気量250cc以下の軽二輪や、同125cc以下の原付バイクの一部でキャブレター車がいまだに購入できるからです。

もちろん、国内メーカーや大手外国メーカーの正規販売車両からは完全に姿を消していますが、海外から並行輸入されるスズキ「GN125H」やホンダ「CG125」、ヤマハ「PG-1」などの逆輸入車、あるいはフェニックス「ガンナー100/125」やAJS「キャドウェル125」のように国内で正規販売される輸入車の中にもキャブレター車は、ちらほら存在します。
なぜ排ガス規制に適合しないキャブレター車が販売できるかと言えば、それは日本の車両登録制度に「特徴」があるからです。
じつは車検のない250cc以下の軽二輪は、新規登録検査の必要がなく、通関証明書と輸入業者からの譲渡証明書を提出するだけで登録できます。排気ガス検査の必要がないため、規制基準を満たしていなくてもナンバー交付が受けられます。
125cc以下の原付はさらに手続きが簡単で、市町村が発行する標識交付証明書だけで登録できます。これらのバイクの登録書類には初年度登録の欄がなく、直近に手続きした年月日しかわからないため、排ガス基準の不適合を理由に行政の取り締まりを受けることもありません。
つまり2025年現在、新車で販売されているキャブレターの軽二輪と原付は、法律の不備をついたグレーゾーンのオートバイといえるでしょう。しかし、筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)はこれを脱法バイクとして糾弾するつもりはありません。
もともとオートバイは、庶民の安価なアシとして高度経済成長期に普及した乗りものです。ところが、政府がいたずらに規制を強化した結果、現在の125cc以下の原付二種は車両本体価格だけで50万円に達するものが珍しくなくなりました。そのような高額化した正規販売車に比べると、並行輸入や逆輸入で日本に入ってくるキャブレター車の値付けは半額程度と圧倒的に安く買えるのです。
これは、法に従って大金を費やして自社製品の規制適合を行っている国内メーカーや正規インポーターにとっては不公平なハナシです。しかし、筆者に言わせれば小排気量のオートバイに厳しすぎる規制をかけることは、ナンセンス以外の何ものでもありません。
「排気量が小さいということは排気ガスの量も少なく、仮にCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)などの濃度が多少濃いとしても、台数的にも少なく、エンジンの小さなオートバイによる環境負荷などたかが知れていると言えるでしょう。」私もそう思っていましたが、自動車の規制が進んでそうは言えなくなっています。
例えば乗用車のH17年規制ではCO=1.15g/km
HC=0.05g/km NOx
=0.05g/km です
一方で原付のH17年規制ではCO=2g/km
HC=0.5g/km NOx
=0.15g/km です。つまり原付の方が絶対量として排出ガスの有害物質の量が多いのです。