なぜ販売できるの!?「排ガス規制で不適合なバイク」新車登録OKなワケ「法律の抜け穴ってホント?」

排ガス規制により国内メーカーや大手インポーターが販売する新車から、公道走行可能なキャブレターのバイクは姿を消しました。しかし一部の輸入バイクにはキャブレター付きのバイクが存在します。なぜ新車販売できるのでしょうか。

キャブレター装備のバイクは生活防衛のためのライフハックだ!

 国内を走る全車両に占めるバイクの割合はわずか10%ほどに過ぎず、トラックやバス、乗用車などと比べてバイクの排気量はずっと小さいのです。

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燃料供給装置にキャブレターを使用したスズキ「GN125H」。2000年代にスズキとライセンス生産契約を結んだ中国の大長江集団(ハオジュン)が製造した車両が並行輸入業車によって多数日本に上陸。新車が安価に販売された(山崎 龍撮影)。

 排気量が小さいということは排気ガスの量も少なく、仮にCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)などの濃度が多少濃いとしても、台数的にも少なく、エンジンの小さなオートバイによる環境負荷などたかが知れていると言えるでしょう。

 にもかかわらず、コスト的にも見合わず、効果が薄いのにもかかわらず、日本政府は厳しい規制をバイクに課しました。その結果、何が起こったかと言えば、先述したような新車価格の高騰です。

 それでも経済的に日本が豊かならまだ許容もできるのでしょうが、現実には日本政府の無策により、国民の平均所得は30年間据え置かれたままで、税金や社会保険料は年を追うごとに値上げされており、おまけに昨今の物価高やガソリン価格の高騰で庶民の生活はますます苦しくなっています。

 このまま日本経済が悪化を続ければ、遠からず私たちは軽自動車すら買えなくなるかもしれません。そうなれば、公共交通が整備された都市部はともかく、地方在住者はこのような安価なミニバイクでも使わない限り、移動の自由を完全に奪われるようになるのではないでしょうか。

 民主主義とは権力を監視し、政府が間違った政策を打ち出したときに選挙によって有権者が異を唱えることができるシステムです。ところが、日本においては政治家や官僚が既得権益によって自縄自縛に陥っているため口を開けば増税と発するばかりで、政治に民意を反映させることが事実上できなくなっています。

 だとするなら、生活防衛のために法律の不備をついてのライフハック、ささやかな抵抗手段として、このようなグレーゾーンに庶民が手を染めることは、社会が容認できる範囲のものだと筆者は考えるのです。

【画像】えっ! これが新車価格約50万円のホンダ「カブ」です

Writer:

「自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、モト・グッツィV11スポーツ、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか」に

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1件のコメント

  1. 「排気量が小さいということは排気ガスの量も少なく、仮にCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)などの濃度が多少濃いとしても、台数的にも少なく、エンジンの小さなオートバイによる環境負荷などたかが知れていると言えるでしょう。」私もそう思っていましたが、自動車の規制が進んでそうは言えなくなっています。

    例えば乗用車のH17年規制ではCO=1.15g/km

    HC=0.05g/km NOx

    =0.05g/km です

    一方で原付のH17年規制ではCO=2g/km

    HC=0.5g/km NOx

    =0.15g/km です。つまり原付の方が絶対量として排出ガスの有害物質の量が多いのです。