「日本一かっこいい駅名」ってココ!? 本州最北私鉄の“秘境駅”に行った 何もない!けど確実に感じる“思い”
本州最北の私鉄・津軽鉄道は津軽五所川原駅を起点に、津軽半島の真ん中を北へと分け入る路線です。その途中には、無人の秘境駅が存在します。
「毘沙門」駅の名前の由来は?
津軽鉄道は、津軽平野の北に路線を延ばす本州最北の私鉄で、「津鉄」の愛称で親しまれています。JR五能線の五所川原駅に隣接する津軽五所川原駅から一路北へと目指し、津軽中里駅へ至る単線非電化路線で、途中の金木駅では上下列車の交換を行うとともに、太宰治の郷里の玄関口でもあります。

冬は旧型客車を使用したストーブ列車が名物で、国内だけでなく外国からも多くの観光客が訪れ、金木駅で途中下車して太宰治ゆかりの斜陽館を訪れたり、津軽中里まで往復したりと、最北の旅を満喫しています。
その途中、列車は林の中にポツンと片面ホームのみある無人駅を通ります。駅名は毘沙門(びしゃもん)。実は「日本一かっこいい駅名」に選ばれたこともある駅です。
毘沙門駅は普通列車のみが停まり、準急列車とストーブ列車は通過扱いです。ホームの背後は林が迫り、反対側はグループホームが隣接している以外は生活の気配がなく、しん……と静まり返っています。このロケーションから、本州最北の私鉄にある秘境駅として、秘境駅愛好家や鉄道をこよなく愛する旅人が訪れています。
秘境駅と言われるほどなので、どれくらいの利用者数かというと、2021(令和3)年度の津鉄調べで1日の乗降数は“1人”、年間乗降数は508人で、主に地元とグループホームの利用者となっており、津鉄の駅の中では一番利用者数が少ないです。
利用者数のピークだった1975(昭和50)年には、1日39人、年間2万8505人(津鉄調べ)を数えました。沿線の高校生、通勤、近隣の家々からの利用者が多く含まれていたのです。この差は、周囲の家々が減少したこと、自動車利用が増えたことを示します。
気になるのは毘沙門という駅名です。七福神の神様の一柱、毘沙門天を祀る毘沙門堂を連想しますね。この駅は津鉄が開業した翌年の1931(昭和6)年6月19日に開業しました。当時、入植者により開拓された「共栄」と呼ぶ集落があり、住民達の要望によって開設した請願駅でした。
そのため駅名は「共栄」となっていても不思議ではありませんが、一帯はかつて毘沙門村であったため、この駅名になりました。では毘沙門村の中心地はどこかというと、駅より西へ2kmほどにある毘沙門堂で、ここから村名となったそうです。毘沙門堂は明治時代の神仏分離によって、現在の鹿嶋神社となっています。
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